ロシア下院、出生率向上案可決 「子ども持たない主義」宣伝禁止
[モスクワ 12日 ロイター] - ロシア下院議会は12日、子どもを持たない主義の悪質な宣伝とみなされるものを禁止する法案を全会一致で可決した。低迷する出生率を上げる狙いがある。 上院とプーチン大統領も速やかに承認する見通しで、成立すれば、既にある「非伝統的なライフスタイル」の推進とみなされるコンテンツの禁止や、ウクライナ紛争に関する反対意見のアカウントの禁止などに加えて、表現の自由に対する新たな制限が加わることとなる。 違反した個人には最高40万ルーブル(4100ドル)、公務員の場合は2倍の80万ルーブル、法人には500万ルーブル(5万1000ドル)の罰金が科される。 9月に発表された公式統計では2024年上半期の出生率が四半世紀ぶりの水準に低下。一方、ウクライナとの戦闘激化の中で死亡率は上昇している。 プーチン大統領は、西側諸国との闘いでロシアを「伝統的価値観」の砦と位置づけ、女性に少なくとも3人の子どもを持つことを奨励し、経済面などでのインセンティブを用意している。 米中央情報局(CIA)の「ザ・ワールド・ファクトブック」の推計によると、23年のロシアの出生率は人口1000人当たり約9.22と、下位40カ国に入っている。ドイツの9.02をやや上回るが、中国の9.7や米国の12.21を下回っている。 法案を歓迎する声がある一方で、一部の女性からは懐疑的な見方も示された。ある女性は「子どもは欲しいと思っているがお金がない。それが子どもを持たない理由だ。どこかの誰かが何かを書いたからではない」とし、別の女性は、適切な生活水準を保証することが出生率を反転させるのに役立つと述べた。