“陸奥湾” 震源の地震が起きたら 今私たちができる備え
青森朝日放送
11月、陸奥湾を震源とする地震が相次いで発生しています。このうち最大震度4を観測したのは2回です。今、私たちができる備えとは。専門家のインタビューも交えてお伝えします。 【取材中のカメラマン】 「揺れてるね…、あ、揺れてるね。地震だね」 11月、相次いで発生した陸奥湾を震源とする地震。16日は、(気象庁の詳しい記録が残る1919年以降)陸奥湾が震源で初めて震度4を観測。20日には、90年ぶりとなるマグニチュード5以上を観測しました。 【青森市在住の人】 「これからは、自分たちもよそ事じゃないと思った、陸奥湾震源地だもの」 【青森市在住の人】 (Q.青森市に津波)「湾だからどうなんですかね、そんなに大きくはないのかなって、楽観視してますけれども」 【青森市在住の人】 (Q.青森市に津波が来る意識)「以前八戸市にいて、東日本大震災は経験していたので、これでまたこっちでもと思ったら、あの時は親に守ってもらってた側だったんですけど、これからは守っていく側になるんだと思うと、まだイメージがつかないですね」 震源が海底の場合、懸念されるのが津波です。 地震のメカニズムに詳しい弘前大学大学院理工学研究科の前田拓人教授によると、震源が海底、かつ浅く、地震の規模が大きければ津波が発生する可能性が高くなるということです。 【弘前大学大学院理工学研究科 前田拓人教授】 「今回の地震は、陸奥湾という海の下で、しかも浅い。そこまでは条件を満たしているんですけど、地震の大きさ、いわゆるマグニチュードというものが津波をもたらすほどの大きさではなかった。だから津波が出なかったということなんですね」 「逆にいうと、もし、もしですよ。それが起こると言っているわけではないですけれども、ここでもっと大きなマグニチュード、例えばマグニチュード7とか、そういった巨大な地震が起きてしまうと、当然それは津波を伴うものになると思います」 青森県防災ハンドブック「あおもりおまもり手帳」では、太平洋側海溝型地震と日本海側海溝型地震に加え、内陸直下型地震でも津波が発生する恐れがあると、注意を促しています。 【弘前大学大学院理工学研究科 前田拓人教授】 「内陸というと陸という字を書いてしまいますけど、今回の陸奥湾の地震も広い意味では内陸の地震の一つです」 【坂本佳子アナウンサー】 「そうなんですね」 「あくまで湾、私たちは海の下だというイメージがありますけど、プレート的に考えると内陸型という」 【弘前大学大学院理工学研究科 前田拓人教授】 「その通りです。非常に浅い海ですよね。日本列島を構成する中の、今は標高が低いので水が入ってきて海になっているけれども、こういった海のプレート、陸のプレートという部類の上では、陸の部分ということになるんです」 「ただし、上に水がある、海水があるので、そこでもし大きな地震が起きたら、それは津波をもたらしてしまうということになるんですね」 27日に青森県が開いた会見では、内陸直下型地震を引き起こす可能性のある青森市の入内断層が、現在分かっている規模よりも大きい可能性を考慮し、陸奥湾周辺で起こり得る津波の被害想定が示されました。 【宮下知事】 「入内断層が海底断層まで仮に伸びていたとしたら、その時にどういう津波が起こって、どういう範囲でそれが到達し、時間がどれくらいかという、その想定です」 このうえで宮下知事は、県民に対し正しい理解と備えを呼び掛けました。 県が公表している津波の浸水想定は、震源に関わらず、頻度は低くても発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波を想定しています。 青森市の場合、最速で津波が到達するのは内陸直下型で、2分で第一波が。 沖合で最も津波が高くなるのは日本海側海溝型で、水位4.8メートル、陸に到達する時の最大波は高さ5.4メートルに達するとされています。 前田教授は、今の地震学において、将来起こりうる地震を確定的に予測することはできないと断言します。 【弘前大学大学院理工学研究科 前田拓人教授】 「これは今の科学技術の限界ではあると。これは残念なことですけども、逆にいうと、どこでいつ起きてもいいように備えていただくしかないということでもあると思います」 店内の一角に防災グッズを置く青森市のホームセンターでは。 【サンデー青森浜田店 塩越流斗さん】 (Q.青森県内の防災意識の高まり)「電話等での問い合わせに関しても、防災に関する何かいい物ありますかとか、そういった問い合わせが増えている感じです」 特に、携帯トイレや防災バッグの売れ行きが前年よりも伸びているそうです。 【藤原祐輝アナウンサー】 「青森県は北国ですから、寒さ対策も重要ですよね、どういったグッズがあるんですか?」 【サンデー青森浜田店 塩越流斗さん】 「はい。まずこちらの非常用アルミ保温シート、こちらの商品が最近寒くなってきたということもありまして、お買い求めになられるお客様が増えてきた感じです」 持ち運びもしやすいアルミ保温シートは、防水・防風機能も担う便利アイテムです。 さらに、寒さ対策では、熱を保つ「保温」だけではなく、熱を加える「加温」という考えも大切です 【藤原祐輝アナウンサー】 「こちらは何ですか?」 【サンデー青森浜田店 塩越流斗さん】 「こちらの商品は、ガスボンベを後ろに入れていただいて使うことができる小型のストーブとなっております」 【藤原祐輝アナウンサー】 「電気も使わないんですね」 【サンデー青森浜田店 塩越流斗さん】 「電気も灯油も必要ないんです」 【藤原祐輝アナウンサー】 「カセットコンロだったら各家庭にありますし、ボンベもローリングストックで備蓄できますから良いですね」 【サンデー青森浜田店 塩越流斗さん】 「そうなんですよ」 世界有数の災害大国ともいわれる日本。常に備えを改める必要があります。 【弘前大学大学院理工学研究科 前田拓人教授】 「ほんの数百年の過去の歴史をさかのぼると、例えば津軽平野で非常に大きな揺れをもたらす地震が起きていたり、ほんの数十年前には日本海中部地震があって、津波による被害が出ていたり、というふうに、わずかに歴史をひもとくだけでたくさんの災害が出ているんですね。ですから今回、幸い大きな被害は出ていないと思いますけど、多くの人が揺れを感じたと思います。これを良いきっかけとしていただいて、改めて身の回りの備えというのを確認していただきたいなと思いますね」