日大アメフット第三委と大学の2つの報告書の温度差は停止解除にどう影響?
一つ目は、今回の悪質タックル問題が起きた背景について。 日大の改善報告書でも「監督の人選が、実務的に保健体育事務局長にあり、事務局長だった内田氏の意向が事実上反映されやすい状況になっており、自らがその職を務めていたことの影響があった」と、組織に問題があったことを指摘しているが、ほとんど内田前監督の独裁体制に責任を押しつけたもので、なぜ事後の不適切な対応を大学が放置したのか、どうガバナンスが欠如していたのか、などには深く触れていない。 一方、第三者委員会の報告書は、統括責任者の大塚学長が独裁体制を放置していた責任を指摘。日大アメフット部監督の選任に関する明確な基準がなく、指導者へのモニタリングが欠如していたことなど、ガバナンスの問題点を詳しく分析しており、日大の報告書から一歩踏み込んだものだった。 2つ目は、そのガバナンスの改善案についての提案の違いだ。 日大の改善報告書には「競技部ガバナンス検討委員会」を立ち上げたことを明らかにして、“第2の独裁者”を作らないために、「日大の要職者が競技部の部長、副部長、監督およびコーチを兼職することを禁ずる規約を作った」とした。ただ、その規約は、なぜか2項目あり、「部長、副部長に関しては、常務理事、学長、副学長が兼職できない」「監督、コーチに関しては理事、学長、副学長が兼職できない」と、わけられていた。そして、そこに理事長という役職だけが省かれ明記されていなかった。 対して第三者委員会の提案は、現在の保健体育審議委員会を廃止して、新たに「スポーツ推進支援センター(仮称)」を設置して、アメフット部など競技部への責任を明確にして、その新組織の幹部には、外部の人材を登用することを織り込み、そして、このセンター幹部らが競技部の部長、副部長、監督、コーチを兼任することを禁止すると、同時に、理事長、常務理事、学長及び副学長が、競技部の部長、副部長、監督、コーチ及び、センター幹部を兼任することを禁止、としている。こちらには理事長を入れているのが大きな差異だ。 おそらく日大の改善書から理事長が省かれた理由は、田中理事長が、相撲部の総監督を務めており、そういう規約で決めると不合理が生じることを避けたと見られる。 そして、内田前監督が実務的に人事権を行使した保健体育事務局長の監督兼職については、「禁止を今後検討する」とあり、ここもなぜか、明言されていなかった。田中理事長の責任について、一切、触れていない日大の改善報告書に関東学連の検討委員会は納得できるのだろうか?