野村証、顧客の自宅訪問で事前承認制を導入-元社員の逮捕受けて
(ブルームバーグ): 野村ホールディングス(HD)傘下の野村証券は6日、同証元社員が強盗殺人未遂と現住建造物等放火の容疑で広島県警に逮捕されたことを受けて、当面の措置としてウェルス・マネジメント部門の社員による顧客の自宅訪問については事前に社内の承認を得るルールを導入したと発表した。
顧客の不安を払しょくし、信頼を取り戻すのが狙い。社員行動のモニタリングのルールを強化し、実効性のある管理運用体制の構築も進めている。また、不正検知のため社員が休暇を取って職場から一定期間離れる制度の導入に加え、コンプライアンス(法令順守)や行動規範の観点における評価の厳格化なども行うという。
野村HDの国内リーテルを担うウェルス・マネジメント部門の24年7ー9月期(第2四半期)の税前利益は453億円と約9年ぶりの高水準にまで回復した。今回の事件を受けて顧客からの信頼を失えば、業績に影響を与える可能性もある。
野村証によると、元社員は10月30日に逮捕された。「被害に遭われたお客さまおよび関係するすべての皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げる」とした上で「引き続き警察の捜査に全面的に協力していく」と発表文でコメントした。
共同通信は31日、野村証の社員だった29歳の男が7月28日、広島市の80代夫婦に夫婦宅での食事を持ちかけ、食事中に睡眠作用のある薬物を混入し、意識をもうろうとさせたところで住宅に放火、現金約2600万円を奪ったとみられると捜査関係者への取材を基に報じた。
野村HDの広報担当者によると、元社員は8月2日に顧客から金を奪ったことを社内で報告。3日に懲戒解雇を決め、4日に本人に伝えた。放火などについての申し出はなかったという。
野村証はまた、6日付で新たな広島支店長が就任したと発表。さらに営業企画担当執行役員を5日に同支店に派遣しており、現地での対応を強化する。
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Nao Sano