好かれようと思わなくて大丈夫...取材のプロが教える「関係が深まる会話の方法」
コミュニケーションの難しさを感じている人は多い。目上の人や得意先などと、どのように円滑に話が進められるのか、日々悩んでいるビジネスパーソンもいることだろう。コミュニケーションのプロであるインタビュアーはどんなスキルを持っているのか、なにを大事にしているのか。年間100本以上の連載を持つ取材のプロ、ラーメンライターの井手隊長が語る。 ※本稿は、井手隊長著『できる人が知っている「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム)より一部抜粋・編集したものです。
わざわざ苦手な人の顔を見なくてもいい
「会話をするときは、人の目を見てしゃべりましょう」 よく会話やコミュニケーションの理想として、本やメディアで語られることの多い「鉄則」ですが、目を見てしゃべるというのは、そんなに簡単なことではないでしょう。じつは、私もかなり苦手です。 むしろ、相手の目から自分の目をそらさずに、ずっとしゃべることができる人というのは、結構レアなのではないでしょうか? 自分が逆の立場でも、ずっと目を見ながら語り掛けられ続けると、割とビビッてしまうものです。 たたでさえ難しいのですから、とくに苦手な人やレジェンドクラスの人の目をずっと見ながらしゃべるというのは至難の業だと思います。 そこで出てくるのが、やはり「本来の目的は何なのか」という話です。 相手の目から目をそらさずに話すということが目的なのではなく、しっかりと取材することが目的です。 そう考えれば、顔を見ることに集中する必要はまったくないと思います。
相手だって目を見られることは苦手と思っている
実際「マイティア」などの点眼液で知られる千寿製薬のおこなった「瞳のチカラ白書(2021年度版)」によると、人と話をする際に「人の目を見て話すことが苦手」と答えた人は全体の49・4%にも上っています。 さらに、話をする際に「相手から目を見られることが苦手」な人は、全体の47・6%もいるそうです。 「相手の目を見て話すこと」はコミュニケーションの基本と言われながら、実際には目を見てしゃべってほしい人ばかりではないということです。 そして、目を見てしゃべれる人ばかりではないということも、多くの人はわかっています。 ですから、無理して相手の目を見つめるのではなく、目の前の「今ここの取材」に集中しましょう。 日本は歴史の名残か、おもてなし文化の延長か、少しマナーにうるさすぎるきらいがあります。 最低限のマナーを守っていれば、あとは相手に合わせてどう振る舞うかだけです。 マナーに振り回されすぎず、本来の目的に立ち返ってみましょう。