ホットジュピターに進化しつつある巨大ガス惑星の2例目を発見か 極端に細長い軌道を公転
また、TIC 241249530 bは公転の方向も注目されています。惑星は誕生したばかりの若い星を取り囲む原始惑星系円盤の内部で形成されると考えられています。たとえば太陽系の惑星は太陽の自転と同じ方向に公転していますが、これは誕生したばかりの太陽の自転方向と原始惑星系円盤の回転方向がそろっていたからだとみられています。ところが、TIC 241249530 bは主星の自転方向とは逆向きに公転していることも判明したのです。 極端な楕円軌道を逆行しているTIC 241249530 bは、ホットジュピターの謎に迫る手がかりになるかもしれません。これまでに5600個以上が見つかっている系外惑星のなかには、木星のような巨大ガス惑星でありながらも主星のすぐ近くを公転しているものが少なからず存在していて、加熱された表面が高温になっていると考えられています。こうした特徴を持つことから「熱い木星」を意味するホットジュピター(Hot Jupiter)と呼ばれるようになりました。 ホットジュピターは最初から主星の近くにあったのではなく、もっと遠い場所で形成された後に主星の近くまで移動してきたと考えられています。ただ、ホットジュピターへと移行する段階にあるとみられる系外惑星はめずらしい上に見つけることが難しく、2001年に発見された離心率約0.93の「HD 80606 b」(木星と比べて直径は約1.03倍、質量は約4.16倍)が知られている唯一の例だったといいます。 今回発見されたTIC 241249530 bは、ホットジュピターへの移行段階にあることを示す2例目の惑星として注目を集めているというわけです。TIC 241249530 bはHD 80606 bとともに、主星から遠い場所で形成された巨大ガス惑星のなかでも質量の大きなものが離心率の高い楕円軌道へと移行し、やがて主星に近い円軌道へ移ってホットジュピターになるという進化の過程を観測的に裏付けるものとなりました。 ペンシルベニア州立大学の博士課程学生だった頃から観測を行ってきたGuptaさんは「天文学者は20年以上にわたってホットジュピターになる前や移行段階の太陽系外惑星を探してきましたから、その1つを発見したことにとても驚き興奮しました。まさに私が見つけたいと思っていたものです」とコメントしています。 Source NOIRLab – WIYN 3.5-meter Telescope at Kitt Peak Discovers Extremely Strange Orbit of Rare Exoplanet Penn State University – Exoplanet caught in ‘hairpin turn’ signals how high-mass gas giants form Gupta et al. – A hot-Jupiter progenitor on a super-eccentric retrograde orbit (Nature)
sorae編集部