ホットジュピターに進化しつつある巨大ガス惑星の2例目を発見か 極端に細長い軌道を公転
アメリカ国立科学財団(NSF)国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)の博士研究員Arvind Guptaさんを筆頭とする研究チームは、「TIC 241249530 b」と呼ばれる太陽系外惑星が極端な楕円軌道を公転していることを発見したとする研究成果を発表しました。今回の発見は、恒星の近くを公転する巨大ガス惑星、いわゆる「ホットジュピター」の謎の解明に一歩近付くものだと受け止められています。 今日の宇宙画像 TIC 241249530 bは「ぎょしゃ座(馭者座)」の方向約1100光年先にある恒星「TIC 241249530」を公転しています。木星と比べて直径は約1.19倍、質量は約4.98倍で、公転周期は約165日間です。主星のTIC 241249530は太陽と比べて直径は約1.397倍、質量は約1.271倍で、太陽よりも少し大きく重い恒星です。 2020年1月、アメリカ航空宇宙局(NASA)の系外惑星探査衛星「TESS」は木星サイズの惑星が起こしたトランジットの可能性があるTIC 241249530の明るさの変化を検出。研究チームが2021年から2024年にかけて地上の望遠鏡による追加観測を行った結果、TIC 241249530 bの存在が確認されました。トランジットとは、ある天体が別の天体の手前を横切って見える現象のことです。トランジットを利用した系外惑星の観測手法については以下の関連記事もご参照下さい。
注目されるのはTIC 241249530 bの公転軌道の形状です。天体の軌道の形は「離心率」という数値で表すことができます。離心率の値は0が真円、0を超えて1未満が楕円、1が放物線、1を超える場合は双曲線であることを示します。惑星や衛星のように何らかの天体を周回している天体の場合は公転軌道が閉じているので、離心率は1未満ということになります。太陽系を例に公転軌道の離心率を見てみると、地球が約0.02、木星が約0.05、冥王星が約0.25、ハレー彗星が約0.97となります。 研究チームが割り出したTIC 241249530 bの公転軌道の離心率は約0.94という大きな値であり、太陽系を基準にすれば彗星のような極端に細長い楕円を描きながら主星を周回していることになります。NOIRLabによると、TIC 241249530 bが主星から最も遠ざかる時は太陽から地球までの距離(約1天文単位)と同じくらい離れますが、主星に最も近づく時は太陽から水星までの距離(平均約0.39天文単位)の10分の1まで接近します。