猛暑はECにとってビジネスチャンスか?ニューノーマルになりつつある“猛暑”のネット通販消費を考える
また円安や物価高の影響もあり、この夏の旅行動向も昨年より鈍くなりそうだ。JTBが7月8日に発表した調査では、この夏休みの旅行意向は「行く」が前年比2.4%減の34.1%となった。7月26日からはパリオリンピックが開幕する。猛暑に加えてこれらもこの夏の「巣ごもり」を後押ししそうだ。
そんな夏の「巣ごもり消費」で注目したいのが、「暑さ対策」と「食品」、「おうちレジャー」だ。 ■ 暑さ対策、食品 エアコンについては6月の時点で家電量販店で好調。エディオンの6月の月次売上速報によるとエアコンの商品受注売上は前年比27.4%増。ヤマダホールディングスでも6月はエアコンが好調だったという。イエナカの暑さ対策として、接触冷感の寝具や服といったアイテムもこの猛暑で需要増が期待できそうだ。
LifeTimeTechLaboの調査では、猛暑の影響で消費の変化が増えるものとして「水道光熱費」(51.4%)、「食費・飲料費」(23.7%)といった回答が上位になった。「巣ごもり」による外出控えは外食機会も減るとみられ、「節約」「自炊」といった訴求で食品関連のECはニーズを拾っていきたいところ。また猛暑による外出控えから、フードデリバリーやネットスーパーなどの利用動向にも注目したい。
■ おうちレジャー コロナ禍の夏のヒットをひも解いてみたい。「Yahoo!ショッピング」では2021年、「家庭用プール」の取扱高がコロナ禍前の2019年から4倍になったという。2024年夏もこうした「おうちレジャー」関連の需要増に期待したい。 また、2024年の夏はパリ五輪の「おうちレジャー」消費も期待したいところだ。エディオンでは「テレビ」の6月の商品受注売上が前年比16.1%増となった。パリ五輪にあわせた買い替え需要も発生していると見られる。食品など関連消費も上手く取り込みたいところだ。 ■ 「巣ごもり」以外の需要 暑さ対策の定番アイテムとなった「日傘」「日除け帽子」「接触冷感服・機能性インナー」「携帯扇風機(ハンディファン)」「ネックリング、冷却タオル」は今夏も需要が高そうだ。楽天グループでは、「日傘」「日焼け止め」「子ども向け暑さ対策アイテム」は楽天市場において流通額の大きく伸びている注目アイテムという。 「楽天市場」における日傘の流通総額は2019年からの4年間で約4.3倍に拡大。なかでも同期間における男性による購入は約23.8倍と大きく伸長した。男性向けの日焼け止めも2023年の流通総額は前年比約3.8倍、日焼け止め機能を持つBBクリームは約4.3倍となっている。男性向けを中心に日焼け対策全般のグッズにチャンスがありそうだ。 子ども向けの暑さ対策も、日常的に使用するアイテムに冷却機能などを追加できる商品が人気。ランドセルパッドの2023年における流通総額は前年同期比で約1.7倍、ベビーカー保冷パッドは同約1.2倍となった。日傘は子ども用も同約1.3倍と伸びたという。 物価高などネガティブな要因もあるが、この夏の猛暑による「巣ごもり消費」を上手く取り込みたいところだ。気温の推移を含め、動向を注視したい。