白紙に戻ったプロ野球開幕は5月末最有力も残る問題点…もし開幕後に”阪神ケース”が起きたらどうするのか?
NPBとJリーグが合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第5回目の協議が3日、東京都内で行われ、専門家チームから「開幕を5月末に延期」との提言を受けた。その後、NPBはネットを使った12球団の臨時代表者会議を開き、4月24日に定めていた開幕日の再延期を決定し新しい開幕日については4月下旬から5月上旬の代表者会議で決定するという方針を固めた。5月末の開幕となると、5月26日から始まる交流戦からのスタートが最有力になるが、たとえ、そこで開幕できたとしても、レギュラーシーズンの試合数削減は必至で、選手の年俸問題や、開幕後に阪神のように選手から新型コロナ感染者が出た場合の対応などクリアせねばならない問題は多い。
無観客試合も難しい
日本の感染症の医学界の叡知が結集した専門家チームから提案されたのは、あまりにも厳しい現実だった。 当初NPBは4月24日の開幕を目指していたが、国内の感染者数の拡大は歯止めがきかず、感染者数は2600人を突破、3日は、1日で312人も感染者が増える緊急事態となり、座長の東北医科薬科大の賀来満夫特任教授は「大都市圏でリンクが追えない患者さんも急増。オーバーシュートまではいかない段階だとしても、どなたでも感染を受ける機会が市中にあり、選手が感染したということもある。4月開催は現段階では非常に難しい。できる限り開催時期を先に引き延ばしていただきたい」と提言。 愛知医科大学の三鴨廣繁教授も「3月28日から明らかに(感染拡大の)局面が変わってきた。5月の終わりごろであれば何とかなるのではないか」と付け加え、開幕時期の目安を5月末だとした。 専門家チームの提言を受けて、4月24日の開幕日は白紙に戻され、「5月末」と提言された開幕日の決定は、今後の推移を見守りながら、4月下旬から5月上旬に先延ばしすることになった。 5月末開幕となれば、5月26日から始まる予定だった交流戦で開幕するプランが最有力だが、そこでもクリアせねばならない問題がある。 ひとつは、143試合のレギュラーシーズンの試合数を担保できるか、どうかという問題だ。 本来ならば、3月、4月で消化する予定だった55試合をどこにあてはめるのか、という日程の問題が浮上する。1年延期となった東京五輪用に空けておいた7月21日から8月13日までの空白に試合をフルにつめこむとしても21試合止まり。34試合分が足りない。NPBは、すでに、11月7日開幕予定だった日本シリーズを11月21日開幕にずらし天候の影響を受けない中立のドーム開催案も含めて、新たにスケジューリングしたが、その間に埋めるとしても、せいぜい6試合分。まだ28試合も足らず、いくらダブルヘッダーを組み込んだとしても、クライマックスシリーズを短縮せず予定通りに開催するのならば、143試合をキープすることは無理になる。そうなると、各チームの興行収入がガタっと落ち込むと、同時に、選手の年俸問題という新たな問題も出てくる。最悪、7月にまで開幕がずれこみそうなメジャーリーグでは、試合数に応じて年俸を比例させて削減する案が出ているが、日本でも、レギュラーシーズンの試合数を減らせば、経営者サイドは、似たような削減プランを提案せざるを得ないだろう。 しかも専門家チームは「開幕がいつになるか本当のことは誰にもわからない。(感染拡大が) 2 、3 週間でピークを迎 え、ピークアウトしていくことは非常に考えにくい。ひと 月 、ふた月のスパンで考えていかなくてはいけない」と見ており、5月末の開幕が、無観客で行われる可能性も残っているが、その無観客試合に対する問題点も指摘された。