古仁屋高校に「町づくり研究所」 地域課題解決へ探究活動 同好会から部活に昇格
鹿児島県瀬戸内町の県立古仁屋高校(米澤瑞代校長、生徒88人)に5月、地域課題の解決策を考える部活動「まちづくり研究所」(與倉音々部長、部員24人)が誕生した。同月26、27日は同町にある国史跡「奄美大島要塞(ようさい)」の活用を目指すチームの代表生徒が千葉県であった高校生の考古学ポスターセッションに参加。3年生の濵田徳光さん(17)は「同年代の発表を間近に聞いて刺激をもらい、専門家からも具体的な助言をいただけてとても良い経験になった」と話した。 古仁屋高校まちづくり研究所は、生徒たちが地元瀬戸内町の課題解決に向けて自ら調査・探求し、活動を通して地域の魅力を発信することが目的。2022年7月に同好会として発足し、生徒総会を経て今年5月末付で部活動に昇格した。活動は土日の休みを中心に月に1~2回。部員たちはそれぞれの研究テーマ別にいくつかのチームに分かれ、町職員や住民らと共に地域活性化に取り組む。 戦跡活用チームは、町内の戦争遺跡の調査や、戦跡のある集落散策を行い、戦争の歴史を現在へ伝える遺跡の活用に向けてアイデアを出し合っている。奄美大島要塞の調査に長年取り組む町教委の鼎丈太郎主査も活動を強力にサポートする。 5月26日はチームを代表し、濵田さんが一般社団法人日本考古学研究会の24年度高校生ポスターセッション(千葉大学法政経学部棟)に参加。同町の戦跡の特徴をまとめ、▽全体の構造を説明する模型の製作▽インバウンド需要を想定した高校生ボランティアによる案内▽地元カフェでの関連メニュー・新商品の開発-など活用案を発表した。翌日は神奈川県横須賀市の国史跡「東京湾要塞跡・千代ヶ崎砲台跡」の視察も行った。 ポスターセッションや先進地視察の旅費には瀬戸内町のキャリア教育推進補助金を活用した。顧問の一人である立神倫史教諭は「先進地の事例を見ることで、戦争遺跡の活用についてより具体的にイメージできた様子だった。今後も研究機関との協力や学術イベントへの参加で生徒たちの学びを深めたい」と話した。