「人間が人間に知識を教えることの価値がものすごく減っている」教員採用の合格者7割が辞退…教育現場どうアプデ?
「なりたい職業ランキング」で常に上位に入ってくる学校教員だが、近年はその人気を疑問視せざるを得ない異変が起こっている。今年、高知県で行われた教員採用試験は合格者280人のうち、約7割にあたる204人が辞退した。採用予定人数は130人だったため、13人に追加合格を出し、さらに12月には2次募集も行うことになった。 【映像】やること多すぎ!日本の教員、仕事リスト 日本の教員の業務は海外と比べて非常に多岐に渡り、食育、清掃指導、家庭訪問など、欧米の学校では教員がしないことを、全てカバーする激務が続いている。また最近では、ネットの発達により専門的な知識がすぐに手に入るようになったため、これまで「知識を持つ」ことで尊敬されてきた教員像も崩れてきているという。『ABEMA Prime』では、これから求められる教員像や、教員が生徒に教えられることなどについて考えた。
■「教える」以外にも業務がたくさん…“低額働かせ放題”なぜ改善せず?
今回、高知での大量辞退は、なぜ起きたのか。教育改革実践家でオンラインスクール「朝礼だけの学校」で校長を務める藤原和博氏は「高知の場合は、試験を2カ月、3カ月前にふって、とにかくそこで取ろうとした。でもそれが結局滑り止めに使われた。自分の本命の自治体も受かったから、高知はお断りというのが2、3年で常態化していたのでは」と、採用試験の“併願”“滑り止め”として高知の試験が使われたと解説した。また、根本的な教師不足については「教員の魅力が減っていることは確か。長時間労働で過酷、という形容詞がつく。にもかかわらず残業代が出ない。最終的に残業代を出す方向でいくしかないと思っている」と述べた。 日本の教員は諸外国と比べて業務量が多い。「とにかく教員が児童・生徒に寄り添わなきゃいけないのに、その時間をなくしてしまう事務処理がものすごく多い。いじめが起きると、国会議員、県議会委員、市議会委員が質問する。そうすると3重にアンケートが降りてくる。さらに学校が流通網として使われるという傾向がある。例えば税金のPRをするために、国税庁が税金の作文を小学生、中学生に書かせようとする。教員がやっている余計な事務処理を半減させることから始めないと。半減させれば教員が足りないという状況もだいぶ変わってくる」と訴えた。