「アサクリ」新作延期のUbisoftがさらなる苦境か “出社回帰”方針受けストライキを現地労組が呼びかけ
「アサシンクリード」で知られるフランスのゲーム開発大手Ubisoft(ユービーアイソフト)をめぐり、フランスのゲーム開発労組STJVが26日、同社社員に対しストライキを呼びかける声明を発表した。同社が「週3日のオフィス勤務」を義務付ける方針を打ち出したことを受けての動きとしている。 【関連】昨日発表された「アサクリ」新作の発売延期発表・労組が公表した呼びかけ
延期発表の直後にスト呼びかけか
組合は10月15日から17日にかけて3日間にストライキを行うよう喚起。組合の声明によると、Ubisoftの経営陣は従業員代表との協議なしに「週3日のオフィス勤務」体制を一方的に通達したとして、出社回帰を求める動きは「従業員の離職やゲームプロジェクトの混乱、さらには残留する従業員の心理社会的リスクの著しい増加を招く」と懸念を示している。 「5年以上にわたり効率的なリモートワークを続けてきた多くの同僚が、家族生活や住居、育児などの面で新たな生活を構築している」との現状を踏まえ、ストライキの要求事項として、リモートワークに関する正式な合意、物価上昇に対応した賃金引き上げ、従業員の意見を尊重する対話の実現を盛り込むという。 この声明は、Ubisoftが人気シリーズ「アサシンクリード」最新作「アサシン クリード シャドウズ」の発売延期を発表した直後に公表されたこともあり、これらプロジェクトに影響を与える可能性もゼロではない。 同作は当初11月15日の全世界同時発売を予定していたが、2025年2月14日に延期された。開発チームは「豊かな体験をさらに磨き上げるため」に「さらなる時間が必要」と説明したが、作品やキャラクター設定をめぐって大きな問題に発展していることも要因にあると見受けられる。
各方面から厳しい視線
Ubisoftは近日、株価の大幅下落に直面。新作タイトルの投入以降、売上状況に陰りが見られたことなどを原因に、一時は15ユーロ台に下落。2014年以来の安値を記録していたほか、27日現在では10ユーロ割り込む事態に。 直近にも株主からは経営陣の刷新や非公開化を含む、抜本的改革を求める声が株主から寄せられるなど、社内外からの厳しい視線が集まっている。 今回の在宅勤務制限の背景には、そうした一連の問題に対応するための生産性向上策との見方もなされている一方で、ストライキが実現すれば3日間とはいえ多少の影響は免れない。経営陣と同社従業員とがどのような動きになるのか、注目される。
山本晃平