【素敵に年を重ねるコツ・インタビュー/前編】小林聡美さんが昭和歌謡のコンサート!?
いきなりコンサートを開催して歌うと聞いて、驚くと同時にワクワクが止まらない。清潔で上品な存在感、演技派・個性派と呼ばれ、幅広いファンを持つ俳優の彼女が、いったいどんな歌を、どんなふうに歌うのか?そしてどうして歌おうと思ったのか?そもそも50代の今、どんなふうに毎日の暮らしを楽しんでいるのか?いろんなことが聞きたくて、新人歌手・小林聡美さんに会ってきた。
歌を? 私が? 人前で?! 小林聡美さんが歌手デビュー!
4月、きっと桜が満開の頃、2デイズ4ステージのコンサートを開く。とはいえこの話、本人からの発案ではない。WOWOWが企画する俳優によるコンサート「NIGHT SPECTACLES」シリーズの第2弾。 オファーを受けたとき、小林聡美さんご自身の反応は? 「歌自体は好きですけれど、人前で歌ったことはなくて。ですからコンサートをするということが、どんなことか想像がつかなくて。でも想像がつかないからこそ、なんかこう、あまり気負わずに『じゃあ、やってみようかな』と」 GOサインが出て、そこから先は聡美ワールド。ユニット名は「チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」に決まった。 「スタッフの方たちといろんな意見を出し合っているうちに、みんなが『チャッピーっていう感じだよね』って(笑)。聡美→チャトミ→チャッピーって、私も昔、ひとりかふたりにそう呼ばれたこともあったし。ちょっと恥ずかしいですけどね、マジシャンみたいで。バンド名のツタンカーメンズというのは空から降りてきたんです、私の中に(笑)」
歌うのは、少々ディープな昭和歌謡らしい。 「私は、小学校6年生くらいのときにキャンディーズとかピンクレディにどっぷりハマった世代なんです。キャンディーズ、好きでした! そもそも昭和歌謡って、メロディが優しいっていうか、あたたかいですよね。肌に合うのは私自身が昭和生まれだからかもしれないですけど、なにか地元に帰るみたいな(笑)。 歌詞も余白がたくさんあって。ちあきなおみさんの『喝采』なんて、子どもながらに、ドラマチックな雰囲気に圧倒されましたし。昭和歌謡のエッセンスは私の体の細胞に、否応なく染みこんでいると思います。 でも今回歌うのは、みんなが聴いたことのある昭和歌謡というより、もっとレアな(笑)。私が生まれる前の曲が半分以上だったりします。 リズムとかテンポがよくてワクワクして、元気になる曲が多いです。ですから、踊るつもりはないんですけど、自然とこう、踊らないで歌うほうが難しい楽曲ばかりで(笑)」 もちろん「人前で歌う」と決めた以上、生半可では臨まない。徐々にボイストレーニングも始めている。 「ボイトレを始めて、あ、歌ってこういうふうに歌うんだ、あ、声ってこうやって出すんだって、一から教えていただいています。以前はテレビを見て、この人あまり歌うまくないなと思っていた人が、実はどれだけうまいのか、自分で歌ってみて初めて気付きました(笑)。 歌い方にもいろいろあるんですね。それはそれですごく面白い。いや、面白がっている場合じゃない! 今、必死です」 自分の声は好きですか? 「私の声は低いので、高い声の人はいいなと思ったりしますけど、声って骨格にも関係していますよね。だからもう、こういう顔だからこういう声なんだろうなと(笑)。人の声を聞いて素敵だなとは思っても、自分がこうだったらいいなとは、あまり考えたことがないです。 これはもう授かったものですから、自分が好きにならないで誰が好きになる?と。欲を言えばいろいろありますけど、この人生はこの声なんだと思って仲良くしていきたいです」