65歳までに「熟年離婚」を考えている40代主婦。10年間パート勤務で「自分の年金」は期待できないけど、貯金500万円と「夫の年金」を半分もらえるなら生活できる?
「熟年離婚」という言葉を耳にして、自分の未来を想像する人もいるでしょう。現在パートで働いてはいるものの、夫の年金に頼らざるを得ない状況では、将来に対する不安を感じることもあると思います。しかし、「年金分割」という制度を頼りにして、夫の年金の50%を確実に受け取れると考えていたら、それは大きな間違いかもしれません。 本記事では、年金分割の仕組みや注意点、そしておひとりさまの老後資金について詳しく解説します。将来に備えた計画を立てるための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。 ▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?
年金分割とは? 夫の年金を50%受け取れる仕組み
そもそも熟年離婚とは、「20年以上の婚姻生活の末に離婚すること」と言われています。長年連れ添った夫婦が離婚する際、特に女性にとって大きな関心事となるのが「年金分割」です。この制度は、夫婦が婚姻期間中に形成した厚生年金や共済年金の保険料を、離婚後に夫婦で分割する仕組みです。 具体的には、夫が厚生年金に加入している場合、婚姻期間中に積み立てられた年金記録の最大50%を妻(正確には年収の低い人)が受け取れる制度です。ただし、これを利用するには、離婚後2年以内に請求手続きを行う必要があります。制度が自動で適用されるわけではないため、手続きを忘れないようにしましょう。 加えて、分割の対象となるのは厚生年金のみで、さらに「婚姻期間中に形成された部分」だけであり、独身時代や婚姻前に夫が積み立てた分は含まれません。 また、注意すべき点として、年金分割をした場合、夫が受け取る年金の半分(例えば20万円の半分=10万円)がそのまま妻に支給されるわけではありません。妻の年金受給額に「婚姻期間中の夫の年金分割分」が合算される形になります。つまり、夫の年金が直接分配されるわけではなく、妻自身の年金に組み込まれるという仕組みとなっています。 以下がイメージになります。 夫の厚生年金受給額:月20万円 妻の年金受給額(自身の分):月5万円 年金分割で、夫の婚姻期間中の年金分の半分(仮に5万円)を受け取る権利が発生した場合、妻の年金受給額は、自身の年金5万円+分割分5万円=月10万円になります。 結果として、「夫の年金の半分が支給される」という誤解が生じやすいですが、実際にはこのように計算されるため、受け取れる金額が自身の想定金額より少ないと感じる場合があります。