がん患者を自宅で看る選択は正しかったのか…おばの面倒を見るおじに不安が忍び寄る【漫画の作者に聞く】
鼻づまりで病院に行ったら突然「がん」宣告。 2児の母であるやよいかめ(@yayoi_kame)さんの闘病コミックエッセイ「続 鼻腔ガンになった話 未来への道」 。2024年に電子書籍が発売された、累計5000万PV超えと大反響を呼んだ漫画シリーズだ。 【漫画の本編を読む】介護で追い込まれる その電子書籍から一部抜粋し、ご本人へのインタビューとともにお届けする。 ■山のような問題点 ステージ4のがんが見つかったあと退院し自宅療養を始めた、やよいかめさんのおばさんの「じゅんちゃん」。見舞いに訪れた友人たちと最初は談笑していたものの、途中からがんの話題になると、恐怖で泣き出してしまう。 「がんに効く」などといった情報がいろんな人から与えられると、本人や家族は闘病に加えて、情報の吟味や不安で大混乱に陥る。「(善意なのは分かるけれど)当事者に情報が集中しすぎないように、周囲の人は配慮してほしい」とやよいかめさんは思う。 野菜ジュースさえ嫌がるじゅんちゃん。食事の変化など普通なら些細に思えることが、がん闘病中の身には大きな負担になっていた。 民間療法を訪問する日になった。ところがいざ電車に乗ろうとしたときに、車椅子のじゅんちゃんが不安と恐怖で固まってしまう。 ■ただでさえ大変な当事者の負担を減らすために やよいかめさんは自分の体験も含め、情報を伝える側に気を付けてほしいことがあるという。「がんになると誰に告知するべきかまず悩むと思うんですが、その理由として大きく3つの理由が挙げられます。1…病状を何回も繰り返し説明しないといけない、2…ガンについて情報を教えてもらう、3…同情される。これらの話をすることが多くなるのではないでしょうか?一つ一つは短い時間でも、何人もの人と同じような会話を繰り返せば、患者とその家族の負担になる場合があります。話して楽になることや気づけることもあると思いますが、いいことばかりではありません」 特に気になったのは、誰かがお見舞いに来たとき、おばさん(じゅんちゃん)の姿を見て友人が泣くこと。「(自分を見て泣かれることは)特に心の負担になるようです。周囲との付き合い方まで考えて行動しないといけないのは、患者も家族も大変です。そういう状況はわかりにくいですが、患者と家族の様子をよく見ていただいてから言葉にするというちょっとした気遣いがあれば、(当事者の)負担も減るのではないかと思います」 ■自宅療養の難しさ 自宅療養の問題が徐々に見えてきたという描写がある。「自宅療養の大変さは、患者やその家族にのしかかる負担が大きすぎるということに尽きると思います。病院にいた場合、何かあっても医療や看護、医療事務などそれぞれの分野のプロが患者とその家族を、身体的にも精神的にもサポートしてくれます。でも自宅療養の場合、患者とその家族がすべてに対応しなくてはいけません」 そのため、自宅療養は手探りで形作ることになる。「排泄の処理、清掃、リネンの交換、食事の準備と介助など、自宅療養は人間一人分の生活をまるっと肩代わりしているようなものだと思います。それに加えて治療やお金の不安、周囲との人間関係などが追加されると、体も心も疲弊してしまいます」 自らがじゅんちゃんを看護するという、自宅療養の道を選んだおじちゃん。その結果は…。 ※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。