「管理職を辞めたい」「そんなやつはクビだ!」課長と社長の言い分、正しいのはどっち?
あけましておめでとうございます。本連載“組織を壊す「自分ファースト」な社員たち”は、今年も毎月第一火曜日に掲載します。2025年1本目は、仕事始め早々に「課長を辞めたい!」と驚きの新年の抱負を語った課長の話。理由も分からず「管理職を辞めたい」は通用するのか。また、会社がそういう社員に対し「そんなやつはクビだ!」と懲戒処分をすることはできるのか?その答えは……。(社会保険労務士 木村政美) <甲社概要> 従業員数400名の専門商社。営業部のメンバーは総勢40名で、1課と2課に分かれている。 <登場人物> A:40歳。営業部長で甲社長の弟 B:35歳。今年4月営業1課の主任から同課の課長に昇進した C:30歳。営業1課主任 D:甲社の顧問社労士 E:23歳。営業1課に在籍する新卒社員 ● 仕事始めの日、B課長の「今年の抱負」は…… 仕事始めの日、営業部のメンバー全員がフロアに集合後朝礼が始まった。A部長は新年の挨拶を終えると、「例年通り、これからみんなに今年の抱負を発表してもらおう。仕事のことじゃなくてもOKだ。全員当てるからどんどん手を上げてくれ」と促した。メンバーたちは 「昨年よりも、個人で売り上げ5割アップさせます」 「今年1年で新規顧客を5件取ります」 「彼女ができるようにがんばります」 などと、それぞれが意気込みや目標を語ると、周りから「いいぞ」「がんばれ!」「無理無理!」などの掛け声が上がり、盛り上がった。ひと段落着いたところでA部長は、 「さあ、最後はB課長に締めくくってもらおう。課長の抱負は何かな?」 と尋ねるとB課長は静かに答えた。 「課長を辞めることです」 その言葉に周りは一瞬静まりかえったが、すぐにざわめきに変わった。A部長はあわてて「おやおや、真面目を絵にかいたようなB課長が新年からジョークを炸裂するとは。おめでたいねえ……」と取り繕ったが、B課長は「ジョークなんかじゃありません。本当に辞めたいんです」と返した。