ChatGPTでも、Geminiでもない…ネット情報を学習し尽くした「生成AI」の次にやってくる"進化系AI"の実力
■自分と同じ価値観で判断する「分身AI」の登場 たった2時間のインタビューで、あなたと同じ判断を下す「分身AI」が作れる──。スタンフォード大学とGoogle DeepMindの研究チームが、衝撃的な研究成果を発表した。人間の意思決定を85%の精度で再現できるAIの開発に成功したという。 【この記事の画像を見る】 2022年11月に鮮烈なデビューを飾ったChatGPTの登場以降、生成AIはすっかり一般企業に浸透した。現在では、米トヨタの研究部門が車両デザインに取り入れていると報じられているほか、すでに米企業の7割で導入されているとの調査結果がある。 一方、OpenAIやGoogleなどAI開発各社は、次世代モデル開発における性能の頭打ちに悩む。そこで、次なる一手として期待されているのが、対話形式ではない新たなタイプのAIだ。パソコン操作を完全に自動化するAIエージェントや、人間に代わって判断を下すモデルなどの開発が進行しており、日々の作業を自動化する未来も見えてきた。生成AIの開発路線は今、大きな転換点を迎えている。 ■米企業の7割以上が生成AIを導入、トヨタも車両デザインに活用 ChatGPTやGeminiなど、現行型生成AIの導入はすでに幅広い業界で進んでいる。IT市場調査大手の米ガートナーは9月、産業界における生成AI活用の実態調査結果を公開した。 代表的な活用事例として、トヨタの取り組みが注目を集めている。米シリコンバレーに本社を構えるトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)はStability AIと提携し、車両デザインプロセスに生成AIを導入。手書きの初期スケッチから様々なバリエーションを生成できるようになり、デザインフェーズの時間短縮や後工程での予期せぬ変更の最小化、さらにはスケッチ作成の高速化を実現したという。 ガートナーが調査対象とした145件の導入事例のうち、業界別では、ライフサイエンス分野が39件と最も多かった。同分野の導入効果としては、業務効率化が23件で突出しており、経済面以外での価値向上が8件、収益増加が5件、リスク管理が3件と続く。 ライフサイエンスに次いで導入事例が多いのは、交通分野で35件だった。内訳は業務効率化と経済面以外での価値向上が共に16件で並び、収益向上とリスク管理はそれぞれ1件と2件で少ない。分野によって効果は異なるものの、業務効率化が最も大きな割合を占めている傾向が強い。