令和ロマン、史上初の連覇で「終わらせた」20回の歴史 『M-1』“第3章”突入へ
両手を横に広げて、ゆっくりと階段を降りていった高比良くるま(※高=はしごだか)は、センターマイクの前に立つくなり、不敵な笑みを浮かべた。「終わらせよう」。過去最多1万330組がエントリーした20回目の『M-1グランプリ2024』は、令和ロマンが大会史上初となる連覇を成し遂げ幕を閉じた。2001年の中川家の優勝から、笑い飯が悲願の戴冠となった2010年までを第1期『M-1』とすれば、15年の再開から数えると今年でちょうど10回目となり、くるまの言葉通り、第2期『M-1』が終わったともいえる。そこで、記念すべき今年の『M-1』とは、一体なんだったのかを考えてみたい。 【優勝会見映像】令和ロマンが史上初の連覇達成!2年連続トップバッターに本音 ■オープニング映像は例年以上のスペシャル感 人生背負った審査員たち 今大会のファイナリストは、史上初の連覇を目指す令和ロマン、昨年準優勝のヤーレンズを筆頭に、多彩な顔ぶれに。真空ジェシカは4年連続、令和ロマンとトム・ブラウンとヤーレンズは2度目、初出場はエバース、ダイタク、ママタルト、バッテリィズ、ジョックロックの5組となった。決勝当日に行われた敗者復活戦では、A~Cブロックを勝ち上がった3組から、芸人審査員5人による決選投票を実施。インディアンスとマユリカが同数となり、2組の決選投票が急きょ行われた結果、マユリカが勝ち上がるという、決勝前から劇的な展開となった。 こうして迎えたオープニング。「『M-1グランプリ』20回目の幕開け。夢を追いかけ、戦った。漫才師たちの夢の入口」というナレーションとともに、2001年からの名シーンが次々と流れていき、ひとつの大きな歴史を振り返っていく構成になっていた。最後は、大会創設者である島田紳助さんによる直筆メッセージ「いつまでもM-1が夢の入口でありますように」が映し出され、例年以上のスペシャル感を印象付けた。 今大会では、審査員の人数と顔ぶれも新たなものになった。2001年のスタート時から基本的な形となっていた「7人審査員制」から、歴代王者が審査した2015年以来となる「9人審査員制」へとシフト。昨年の審査員だった松本人志(ダウンタウン)、山田邦子、富澤たけし(サンドウィッチマン)が今年は担当せず、若林正恭(オードリー)、礼二(中川家)、山内健司(かまいたち)、塙宣之(ナイツ)、博多大吉(博多華丸・大吉)、哲夫(笑い飯)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、海原ともこ(海原やすよ・ともこ)、石田明(NON STYLE)という顔ぶれとなった。 審査員登場時のあいさつで、多く飛び出したワードは“人生”。柴田が「『M-1』は人生変わりますし。みなさんの人生かけたネタ、私もきょうは楽しみにしております」と口にすると、石田も「2008年の『M-1』で優勝させてもらったんですけど、その時の上位4組(NON STYLE、オードリー、ナイツ、笑い飯)がここに並んでいると。すごくうれしいんです。僕も人生変えてもらったんで、きょう誰かの人生が変わると思うとドキドキしています」とコメント。若林は「初めて漫才に点数つけてみるんですけど。2008年の敗者復活では最後(の出番で)、現場に30分くらいしかいられなかったので、きょうは頭からいられてうれしいです。『M-1』に人生救ってもらったんで、一生懸命審査します」と言葉に力を込めた。