令和ロマン、史上初の連覇で「終わらせた」20回の歴史 『M-1』“第3章”突入へ
■阿部一二三の笑神籤が引き当てた「令和ロマン」 くるまが「終わらせた」歴史
舞台は整い、いざ決勝がスタート。パリ五輪柔道金メダリストの阿部一二三選手が、順番を決める笑神籤(えみくじ)を引くと、出てきたコンビ名を見て、思わずMCの今田耕司の方になんとも言えない表情を向けた。今田もそこに書かれているコンビ名を確認し「いやいやいや…」と驚きの声を上げると、阿部選手から「1組目は令和ロマンです」とコールされた。昨年、初代王者・中川家以来となるトップバッターでの優勝を果たした令和ロマンが、今年もトップバッターに選ばれるという“劇的な展開”に、会場中はもちろんSNSがどよめいた。 ただならぬ雰囲気の中、王者の風格をまとった2人が登場するなり、くるまが発したのが「終わらせよう」。去年からさらにパワーアップした姿を見せつけて、850点という高得点を叩き出した。審査の基準となることから、過去を振り返ってみても、トップバッターの得点がなかなか伸びない傾向にある中、令和ロマンは2年連続でその壁を乗り越えた。 『M-1』といえば“ダークホース”の活躍にも注目が集まるが、今年はバッテリィズのネタが爆発した。2017年結成で初の決勝進出を果たした2人だが、1本目は「偉人の名言」を題材にネタを披露。審査員たちの高得点が発表される度に、ボケのエースは飛び上がって大喜び。ファーストステージでは最高得点の861点を獲得した。95点をつけた若林が「小難しい漫才が増えてくる時代の中で、なんかワクワクするバカが現れたなと(笑)。日本を明るくしてくれそうで。(ツッコミの)寺家さんが、漫才のリズムをキープする腕も確かだなと思いました」と絶賛した。 4年連続で決勝進出を果たした真空ジェシカも、令和ロマンと1点差の849点で3位に。審査員の大吉も「本当に全部面白くて。令和ロマンと差はつけないといけないと思って、上にしましたけど。見る度にうまくなっている。この2人の技術がものすごい」と賛辞を送った。川北茂澄は、ネタ後のトークで「僕らを4回も呼んでくれる番組は、ここと『マルコポロリ』しかない」と口にしていたが、回数を重ねると決勝の舞台に上がることも難しくなる中、進化を続けて決勝の舞台で結果を残した。 最終決戦では、3組それぞれが持ち味を存分に発揮した漫才で魅了。審査員も大いに悩み、若林が「それぞれの武器でハイレベルなんで、決めるのが難しい。まだ迷ってますね」とコメントし、礼二も「まだ決めてません」と笑顔で開き直り、塙も「ちょっと、今年が一番悩んでます」と苦悩をのぞかせた。最終的には最も名前をよばれた令和ロマンが、偉業を成し遂げ圧倒的な存在感を見せつけたが、くるまが「次は審査員をやりたいです」と叫び、松井ケムリが「オレたちがチャンピオンだ!」と高らかに宣言して、20回目の祭りが終わった。 2015年に再開した際には、歴代王者による審査員9人体制が採用され、それから10年の月日が経ち、今回も9人に。15年と同様にそこには松本がいなかった。そして、くるまが発したのが「終わらせよう」。“ミスターM-1”笑い飯がラストイヤーで優勝を飾った2010年から14年が経ち、哲夫が審査員として参加する中、令和ロマンが新たな歴史を刻み、冒頭の言葉通り『M-1』に新時代をもたらした。 ■M-1グランプリ 優勝者一覧【参加組数】 2001年度 中川家【1603】 2002年度 ますだおかだ【1756】 2003年度 フットボールアワー【1906】 2004年度 アンタッチャブル【2617】 2005年度 ブラックマヨネーズ【3378】 2006年度 チュートリアル【3922】 2007年度 サンドウィッチマン【4239】 2008年度 NON STYLE【4489】 2009年度 パンクブーブー【4629】 2010年度 笑い飯【4835】 2015年度 トレンディエンジェル【3472】 2016年度 銀シャリ【3503】 2017年度 とろサーモン【4094】 2018年度 霜降り明星【4640】 2019年度 ミルクボーイ【5040】 2020年度 マヂカルラブリー【5081】 2021年度 錦鯉【6017】 2022年度 ウエストランド【7261】 2023年度 令和ロマン【8540】 2024年度 令和ロマン【10330】