【ホラー漫画】大好きな曲に合わせてうめき声が!?「一緒に歌ってる?」曲が終わると消える切ない霊の話【作者インタビュー】
「あなたの怪談、聞かせてください――」。漫画「水ムーちゃんねる 隣の晩怖談」では、作者水村友哉(@gontanopoo)さんが実際に聞いた・集めた・体験した「実話怪談」を描く。今回は、隣の晩怖談(ばんこわだん)の第7談より「出会えてよかった」を紹介するとともに水村さんに制作の経緯を聞いた。 【漫画】切ないホラー「出会えてよかった」を読む ■大好きだったいとこが急死!追悼に大好きだった歌を歌うと…? 当時9歳だった果菜。めぐちゃんは、果菜のいとこで横浜に住む高校2年生。休みの日に、いとこのめぐちゃんに会いに行くのが大好きだった。めぐちゃんは、カラオケが好きで行くと必ず「出会えてよかった」という曲を歌った。 そんなめぐちゃんは、彼氏と別れてすぐ18歳で脳卒中となり帰らぬ人となった。当時幼かった果菜は、めぐちゃんが死んだということがどういうことなのかわからなかったという。 お葬式でめぐちゃんの家を訪れた果菜。めぐちゃんの部屋で彼女の日記を見つけ、カラオケでよく歌っていた「出会えてよかった」の歌を口ずさむと…。 ■葬儀の場所でもカラオケでも、あの歌が流れるとどこからともなく口ずさむ声が聞こえてきて…? ――まずは、水村さんがホラー漫画を描くようになったきっかけを教えてください。 子どものころ、水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」が大好きで、妖怪やお化けの絵をよく描いていました。それが大きな軸となり、小学生の夢が漫画家となり、時間はほんとかかりましたが、現在こうして実話怪談漫画を描かせていただいている感じです。ほんとありがたいです。 ――本作を描いた経緯を教えてください。 コロナ禍になり外出できないとき、漁るように観ていたのがオカルト、心霊系YouTubeでした。そもそも子どものころから怖い話も大好きだったので、ハマりましたね(笑)。なかでも好きだったチャンネルが「都市ボーイズ」という怪奇ユニットだったのですが、声をかけてくださった担当編集さんも同じく好きで、意気投合しました(笑)。本来違う仕事を頼まれたのですが、僕の「実話怪談漫画をやってみたい」ということに同意してくれて、この「隣の晩怖談」が始まりました。 ――ホラーにはいくつかタイプがあると思いますが、水村さんが描くホラーはどのような特徴、こだわりがありますか。 怖い話やホラー漫画が流行ってる昨今、正直飽きも出てきます。そんなとき、読みたいと思ったのが普通の漫画のような怪談漫画だったんです。それは、ちょっと笑えて、日常パートもあり、でも怪異がちゃんと怖くて、かっこいい…そんな漫画。それを意識して描いてます。あとは、体験者さんの中に実際おもしろい行動を取る方もいたりするので、そこも省かず描くのもこだわりの一つですかね。 ――本作を描くにあたり、裏話や裏エピソードは何かありますか? 知ってる方もいると思いますが、「身近な怖い体験談」ということで、しゃもじを持って突撃するテレビ番組「隣の晩御飯」からタイトルはオマージュしています(笑)。あとは「YouTubeのような怪談漫画を」という設定もあって、「水ムー」というフクロウがストーリーテラーになっています。古来よりフクロウとしゃもじは「魔除け効果」もあるので、ぜひ、水ムーの語りも飛ばさず読んでくださいね。 ――今まで描いた作品のなかで反響が大きかった作品はなんでしょうか? 僕の叔父の体験談ですかね。隣の晩怖談の第13談「鳩の鳴く家」で描きました。鳩が変死したり、家では奇怪なことが起きて、おばさんも実際怖かったらしいのですが…。いろんなツッコミがありました(笑)。 ――ほかにどのような漫画を描いていますか? 読み切りですが、空を知らない少年が地下から空を目指す「空とアトリ」や中世でコンパする「晩餐騎士」、妖怪とテニスバトルをする「妖(あやかし)テニス」、中学生と悪魔のぬいぐるみが怪事件を解決していく「メチャメチャマドウ」があります。どれも妖怪、ファンタジーものですね。 ――新刊の見どころなどありましたら、お願いします。 2024年8月29日に発売された第3巻には、「怪談ライブBarスリラーナイト」に所属しているプロの怪談師お二人の怖い体験談が掲載されています。本当に怖くて、おもしろい。命に関わるような話もあったので、ホンモノの恐怖も味わえます。また、ほかの体験談も不思議かつクスッと笑えるシュールな体験談もありますので、子どもから大人までも楽しめると思うので、ぜひ手に取ってみてください。 リアルな実話から制作されただけあって、オチがないところもまたリアル。なんとなく不思議な体験を感じたい人は、コミプレ「水ムーちゃんねる 隣の晩怖談」で読むことができる。 ◆取材協力:水村友哉(@gontanopoo)