「生産性が上げられない会社、チャレンジできない会社は終わっていく」CIO Lounge理事長が考える“日本企業の未来”とは?
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。11月23日(土・祝)の放送は、前回に引き続き、NPO法人CIO Lounge理事長の矢島孝應(やじま・たかお)さんを迎え11月1日(金)に開催された「DIGITAL VORN Conference 2024」での公開収録の模様をお届けしました。
矢島さんは、1979年に松下電器産業(現:パナソニック)に入社。情報企画部長や三洋電機の執行役員ITシステム本部長などを歴任。その後、2013年にヤンマーに入社し、2014年に執行役員ビジネスシステム部長、2018年には取締役CIOに就任。2020年5月に退任し、現在はNPO法人「CIO Lounge」の理事長をつとめています。
◆すべての企業が生き残ることは不可能!?
矢島さんが理事長をつとめるCIO Loungeは6年前に設立し、当初は数名だったメンバーも現在は76名まで増加。さらに、矢島さんが設立当初に予想していたよりも(ITデジタル推進の)需要があり、必要とされていたことに驚いたと言います。 また、現在の運営状況については「ご相談いただいている企業からは1円もいただかずにご相談に乗らせていただいていますが、やはり活動するからにはお金が必要になりますので、現在はパナソニックやNEC、富士通といった大企業からスタートアップの会社まで119社から会費をいただいたり、私の講演料などでやり繰りして活動しています。メンバーには1円も払っていないんですけど、みんなよう働いてくれるんですよ(笑)。でもそれは、自分たちがやってきたことを次の社会にも活かしたいという“使命感”からきています」と語ります。 続いて、笹川が「近年、急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)やITが浸透してきた流れがありますが、企業は今後どんなアプローチをしていくことが必要でしょうか?」と質問すると、矢島さんは「もちろん企業によって文化や歴史が違うので一概には言えませんが、“チャレンジできる文化”をつくること。それができないと、日本はやっていけないんじゃないかと思う」とキッパリ。 続けて、「今、それなりに日本の企業も成長しているんですけど、IMD(国際経営開発研究所)が出している『世界のデジタル競争力ランキング』では、日本のランクがどんどん落ちていて(2023年は)過去最低の32位まで下がっているんですよ。政府や日銀さんは『アベノミクスで400万人の雇用を創出した』とおっしゃりますけど、日本のGDP(の成長率)は上がっていないんですよね。GDP(国内総生産)って“就業労働者数×労働生産性”なのですが、“就業労働者数が400万人上がった”とアピールすることは、(GDPがあがっていないので)同時に“労働生産性が落ちた”ということをアピールしていることになるんですよね」と指摘します。 そして、「ということは……もうすべての企業が生き残ることは難しいだろう」と衝撃的な言葉も。その理由として、「多分これから10年ぐらいでリソースも減っていくので、生産性が上げられない会社や、チャレンジできない会社は終わっていくと思うし、逆に淘汰されていかないと、日本の人口が減っていくなかで市場も広がっていかない。そのなかで今のIT、デジタル、テクノロジーを使わずにチャレンジするなんてあり得ない。そこを経営者の方がしっかりと理解してほしい」と声を大にします。