太平洋戦争「最強駆逐艦・雪風」艦長の”手記”が生々しすぎる…「敵機100機以上に直面しての”大芝居”」「生と死の間の心境」「目の当たりにした戦艦・大和の”最期の瞬間”」!
大和は5倍の高さに達する大噴煙を天に染めて没した
雪風は大和の周囲をぐるぐると旋回して警戒に当たった。優速なせいか、まるで大和が停止しているように見える。後部の飛行甲板は破壊され、探照灯台、艦橋後部の損害状況がはっきりと視認される。大和は舵をやられたのか、右にゆるゆると回り始めていた。 だが敵の攻撃はつづく。大和護衛の任についているものはわが雪風と冬月を残すのみ。大和の傾斜は約45度に達していた。そして上甲板が雪風から十分に望見されるようになった。雪風は大和に近づいた。このとき、大和は急傾斜して巨大な赤腹をみせて横倒しとなり、やがて爆発の大音響とともに大和の艦橋の5倍の高さに達する大噴煙に天を染めて没していった。ときに午後2時23分であった。
潮書房光人新社