倉田真由美さん、夫が最期に残していったのは「元気な頃には言わなかった言葉」
ある寒い日の夜のこと
寒い日の夜、夫が温かいそうめん、にゅうめんを食べたがったので作ったことがありました。味噌汁茶碗に一杯出したのですが、夫は一口しか食べられませんでした。 「ごめんな」 食べたがって作ってもらったのに、食べられなかったことを謝ってきたのです。それを聞いて、私は悲しくなりました。 「そんなこと気にしないで。またいつでも食べたいものあったら言ってね」 ごめんなんて言わなくていいんだよ、とも言いました。以前の夫ならこんな場面で「ごめん」なんて言いません。 夫が弱気になっている、変わってしまっていることがつらくて、「そんな言葉は聞きたくないよ」と苦しくなりました。夫には伝えなかったけど。 私は夫から、謝罪も感謝もいりませんでした。そんなものなくていいのに、でも最期、夫は私にそれを伝えていきました。 そんなのいらないよ、こちらこそありがとうね、ってもっとたくさんたくさん言えばよかったです。