【特集】長年の「偽物説」を覆した多賀城碑 知られざる研究成果
朝廷側は多賀城で蝦夷をもてなしていたことが判明
多賀城そのものの解明も進んだ。 戦前まで、多賀城は朝廷が蝦夷を武力で支配するための軍事施設と考えられてきた。 しかし、発掘で見つかった土器などから朝廷側は宴会などで蝦夷をもてなしたり、また木片を使って文字を習得した蝦夷を役人に登用するなど平和裏に支配を進めていたことがわかってきた。 東北歴史博物館 吉野武所長 「宴会を催していっぱい物をあげて仲良くして懐柔する。通常は戦争はお金かかるので平和裏に仲良くするのがいい」 発掘調査は偽作説を覆してきただけでなく古代史の解明にも貢献。 その結果、国宝への道が切り拓かれた。
偽作説が国宝指定のきっかけにつながった
平川名誉教授は、国宝指定のきっかけを作ったのは偽作説を世に問うた歴史家だと評価している。 偽作説を覆す研究 平川南名誉教授 「偽作説を公にしたこと。それがなかったらこれほど学問的な広がりが深まることはなかった。偽作説に抗することに勇気がいる。でもそれは絶対に打ち崩さないといけない」 多賀城碑国宝指定の裏には偽作説を世に問うた研究者とそれに立ち向かった研究者のあくなき探求心があった。 その精神は今も引き継がれ、発掘調査は今後も続けられる。