UACJ製箔、野木製造所(栃木)のLIB集電体用アルミ箔能力1.2倍へ。素材の安定供給体制構築
UACJ製箔(社長・今泉明人氏)が野木製造所(栃木県下都賀郡野木町)でリチウムイオン電池(LIB)集電体用アルミ箔の増産投資を進めている。既存工場内に断裁ラインを増設し、2025年8月ごろをめどに野木製造所のLIB集電体用アルミ箔の製造能力を1・2倍に引き上げる。自動車大手やバッテリー大手が国内外でLIB工場の建設を進める中、素材の安定供給体制の構築を急ぐ。 LIB用アルミ箔マーケットは、足元では電気自動車需要の一服感などを受けて調整局面が長引いているものの、政府の蓄電池政策が後押しする形で中長期的には大きく伸びていくことが確実視されている。一方で正極材の素材となるアルミ箔では安定供給体制の構築が急がれていたため、UACJ製箔も22年末に設備増強を決めた。 野木製造所ではLIB集電体用アルミ箔の圧延以降の工程で必要になる切断機を増設する。すでに設備導入作業に入っており、25年8月の稼働を目指す。今回の投資で野木製造所としてのLIB集電体用アルミ箔の製造能力は2割増加する。なお今回の設備投資では「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業費補助金(二次公募)」を活用した。 UACJ製箔はLIB正極用アルミ箔を本格生産する国内唯一のメーカーで、野木製造所のほか伊勢崎製造所(群馬県伊勢崎市)とマレーシア子会社でLIB集電体用アルミ箔を製造している。伊勢崎製造所では箔圧延機などの増設によりLIB集電体用アルミ箔の生産能力を1・5倍に引き上げる計画を実行中。一連の取り組みにより、国内自動車メーカーや日系企業の海外拠点向けのLIB集電体需要に対応する考え。