TikTok、欧州での電子商取引事業を棚上げ-禁止瀬戸際の米国に注力
(ブルームバーグ): 動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」は、急成長中の電子商取引事業を欧州の主要各市場で立ち上げる計画を棚上げし、米国での成長に注力する。米国で同社は事業売却か禁止かを迫る法律を巡り争っている。
事情に詳しい関係者によると、ティックトックはスペインとドイツ、イタリア、フランス、アイルランドで7月にもショッピングプラットフォームを開始する予定だった。メキシコとブラジルでも同様の計画があったが凍結したと、関係者の1人が述べた。計画再開の有無や、再開する場合の時期は明らかでないという。関係者は内部の情報だとして匿名で語った。
欧州の業者の不意を突いたこの動きは、ティックトックの親会社、中国の字節跳動(バイトダンス)が米国の業者や消費者にとって価値ある企業であることを証明するため、同国での立場を固めようとする方針の表れだ。同社経営陣は月間ユーザー数が1億7000万人に上り、最も稼げる市場の米国に経営資源を集中し、米当局による禁止を阻止したい考えだ。米国で禁止される可能性を考慮し、一部では新プラットフォーム「ティックトック・ショップ」への出店を取りやめる動きも見られている。
ティックトック広報は欧州事業の計画棚上げについてコメントを控え、同社は「需要に従う」と述べた。「ティックトック・ショップの影響は前向きなもので、新たな商業機会という実験を続けることに心が弾む思いだ」と続けた。
ティックトックは今年、米国での電子商取引事業を10倍に拡大し、最大175億ドル(約2兆7500億円)とすることを目指している。
TikTok、米電子商取引事業を2.5兆円規模に拡大目指す-関係者 (1)
原題:TikTok Pauses E-Commerce Push into Europe to Focus on US(抜粋)
--取材協力:Sarah Zheng.
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Zheping Huang