YouTubeの有料サービスで1億人突破、「課金モデル」導入の歴史
グーグルは2月1日、YouTube を広告なしで楽しめる有料プランのYouTube Premium とYouTube Music の総ユーザー数がトライアルを含めて1億人を超えたことを発表した。 この数字は、YouTube全体の25億人というユーザー数と比べると小さなものだが、YouTubeのニール・モーハンCEOは、フォーブスに対して同サイトの課金ビジネスは、広告ビジネスと双璧をなしていると語った。 「当社の主力事業が広告ビジネスであることは明らかです。しかし、我々はサブスクリプションビジネスの構築にも懸命に取り組んでおり、現時点でビジネスの重要な部分を占めています」と彼は付け加えた。 有料ユーザーが1億人を突破したことは、YouTubeのサブスクリプション事業が、競合との差を縮めつつあることを意味する。Amazon Primeの加入者数は2021年時点で2億人を突破しており、同じく広告なしのサービスであるSpotify Premiumの加入者数は2億2600万人と報じられている。 2015年に登場した月額13.99ドル(日本では税込1280円)のYouTube Premium のサービスには、YouTube Music Premium(単独で月額10.99ドル、税込1080円)へのアクセスや、オフライン視聴用に動画をダウンロードする機能などが含まれている。Premiumユーザーはまた、昨年から試験提供が開始された生成AIを用いたコメントの要約機能などを利用できる。 YouTube Musicは当初、YouTube Premiumの一部としてリリースされたが、2018年に独立したサブスクリプションサービスとして利用可能になった。
試行錯誤の歴史
グーグルの親会社のアルファベットのスンダー・ピチャイCEOは1月30日の2023年第4四半期の決算発表で、グーグルのサブスクリプション事業が昨年、合計150億ドル(約2兆2000億円)の収益を上げたと述べた。この金額には、YouTube PremiumとMusic、ケーブルテレビの代替サービスのYouTube TV、追加ストレージサービスのGoogle Oneなどの収益が含まれている。 「YouTubeは、当社のサブスクリプション収入の主要な原動力だ。YouTube MusicとPremiumは本当に勢いがある」とピチャイは述べていた。 1億人というユーザーベースには、無料トライアルが含まれているため、PremiumとMusicの課金収入がいくらなのかは不明で、モーハンも詳細な説明を避けている。YouTubeは、サブスクリプション以外で第4四半期に前年同期比15.5%増の92億ドルの収入を得ていた。 ■試行錯誤の歴史 YouTube Premiumはこれまでいくつかの試行錯誤を重ねてきた。当初はYouTube Redとしてデビューしたこのサービスは、音楽に加えて、2017年にYouTube Originalsと呼ばれるプロが制作した動画のシリーズを立ち上げ、ネットフリックスやアマゾンのPrime Videoの成功を追いかけようとしていた。当時のタイトルには、80年代の青春映画『ベスト・キッド』の続編の『コブラ会』(最終的にネットフリックスに移った)や、ヒップホップダンス映画をベースにしたシリーズの『Step Up: High Water』などがあった。しかし、YouTubeはその3年後にオリジナル番組部門を閉鎖した。 モーハンは、YouTube がオリジナル番組から撤退した理由について「人々が本当に見たかったのは、プロではなく、クリエイターが作る従来型のYouTubeのコンテンツだったのです」と説明した。「視聴者の間では、それこそがYouTubeのコンテンツだったのです。そして、それが私たちが焦点を当てることにしたコンテンツなのです」と彼は付け加えた。