三日月大造・滋賀県知事に聞く「人口減少肯定的に受け入れたい」(全文2)
まだ伝統的な価値観が残る地域がある
──識者の中には、日本の伝統的な価値観が少子化の要因になっているという意見もある。滋賀県内では、女性が産んだり、働いたりしやすい環境や意識は、現状は整っていると思うか。 まだまだ伝統的な価値観とか死生観とか人間観っていうことが、色濃く残る地域が多いと思う、滋賀県は。女性はこうあるべき、男性はこうあるべき、家庭は、親は、母親はかくあるべし、という伝統的な価値観が色濃く残っていると僕は思っています。 ただ、変化の兆しはあって、これでいいんだろうか、どうしたらいいんだろうかって考え始めている人たちが多い。だからそこに僕は希望を見出していて。例えば、この考え方だとなかなか人が集まらない、この考え方でやっているとなかなか息子や娘が定着しない、例えば結婚しない、この地域に住まない。じゃあどうしたらいいんだろうか。 だから、村や企業が変わらずにあり続けるためには、自分たちが変わっていかなければならないっていうことに気付き、実践し始めている人たちは多いので、その取り組みを僕らは応援してあげるというか、一緒にやろうと言ってあげるというか。 ──滋賀はベッドタウンというイメージで、意識としては共働きなのではと思っていたが。 確かに共働きをされる方とか、もっと開かれた考え方を持つ人たちも多いですよ。ただ、ベースになるところは、僕はまだまだ古くて固いものが岩盤のようにあるなと思っています。事実、それぞれの新しいベッドタウンでも、その地域のお祭りなどはそういう伝統的な人たちが動かされているし、自治会とか行政の主たる人たちは、まだまだその地域の人たちが握り担っていらっしゃるわけだから。そういったところに、そういう先進的な考えを持っている人たちがちゃんと食い込めているかっていうと、まだまだそうじゃない面は多いと思います。 ──滋賀には製造業の関係で外国の方も多いのでは。 いらっしゃいますね、外国籍の方も。滋賀県は地域によってですけれども、たくさんいらっしゃいます。 ──外国の方を受け入れていけば、人口増加につながるが、そういう面でも意識として、なかなか難しいか。 意識としては難しいと思います、正直。ただ、これからはもっともっと世界にも開かれた、各国の方々にも住みやすい、多様性が尊重される、そういう滋賀県を作っていきたいと思っています。だからこそ私は、滋賀から世界へ、世界から滋賀へ、というスローガンのもと、さまざまな産業的な関わり、取り組みもそうですし、例えば観光の面でも、もっともっと世界の方々に滋賀に来ていただける。滋賀で作っているいいものを、各国、世界の人たちに楽しんでもらう、買っていただく。そういう取り組みを積極的にやって、ゆくゆくは、そういうところで出会った人たちが、滋賀に住みたいね、滋賀で学びたいねって思っていただけるような、そういう地域を作っていきたいなと思っています。