ウイルスなどの感染症予防にも「みそ汁」が効くワケ…肝臓の専門医が、そのメカニズムを詳しく解説
肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘や脂肪肝まで、丸ごと改善してくれる、奇跡の料理……。いま、日本人のソウルフード“みそ汁”の健康効果が、大きく注目されています。 【写真】レシピ付き!やせみそ汁はこちら 「毎朝、具だくさんのみそ汁を最低一杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります」と語るのは、日本肝臓学会認定の肝臓専門医で、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏。本稿では、栗原氏の新刊『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁』(ワニブックス刊)より、これからの時期に気をつけたい、ウイルスなどの感染症の予防にも“みそ汁”が効果を発揮する理由について、徹底解説します。 【第1回から読む】「1日1杯のみそ汁」で肝臓から脂肪が消えていく…肝臓専門医が明かす、驚愕の科学的事実
必須アミノ酸をすべて含む奇跡の食べ物「みそ汁」
日本人のソウルフード・みそ汁。その健康効果は無限大だということが、昨今の研究で明らかになりつつあります。そのなかには、これからの時期にとくに気をつけたい“ウイルスなどの感染症”から身を守る「免疫力アップ」という効果も。 発酵食品であるみそには、腸内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やす働きがあり、腸には疫細胞が集まっているので、腸内環境が整うことで免疫力も向上するというわけです。この点について、くわしく解説していきましょう。 みそのすばらしい栄養素の1つが、体の中で作ることができない9種類の必須アミノ酸をすべて含んでいるという点です。アミノ酸はタンパク質のもととなる有機化合物のことで、人間の体は、20種類のアミノ酸から構成されています。タンパク質は私たちの体全体の20%を占めている重要な栄養素。つまり、私たちの体の20%はアミノ酸で作られているといっても過言ではありません。 アミノ酸は体内で生成できるものとできないものがあり、体内で生成することのできない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は食事から摂取する必要がありますが、必須アミノ酸が1つでも不足すると体の中でタンパク質を作ることができなくなってしまうため、まんべんなく摂取しなくてはなりません。 9種類の必須アミノ酸を毎日まんべんなく食べようとすると、複数の食材をうまく組み合わせていかなければなりませんが、みそ汁を飲めば、それだけですべての必須アミノ酸を摂ることができるというわけです。 アミノ酸が不足してタンパク質が作られなくなると、筋肉や臓器、爪や髪の毛といった体のあらゆる場所に悪影響が現れます。例えば、筋肉量の低下によって運動機能が低下したり、基礎代謝が落ちて肝臓に脂肪がつきやすくなります。 また、ウイルスや細菌などから体を守る抗体は、免疫細胞から作られています。免疫細胞はタンパク質、つまりアミノ酸から作られているため、アミノ酸が不足すると免疫細胞が減り、ウイルスや細菌に感染しやすくなってしまう恐れがあります。 そのほかにも、皮膚トラブルや、薄毛、抜け毛といった髪のトラブルも発症しやすくなります。さらに、脳内のドーパミンやセロトニンといったホルモンもアミノ酸から作られています。アミノ酸が不足してこうしたホルモンが分泌されにくくなると、集中力や思考力が低下してしまうことが考えられます。 このように、アミノ酸は人間が健康に生きるための根幹を支える栄養素。いつまでも若々しく元気でいるためには、毎日のみそ汁生活で、必須アミノ酸をまんべんなく摂ることが重要なのです。