【万人受けは狙わない】 時代を裏を突いた仏の一台 DS 4エスプリ・ド・ヴォヤージュEテンス
走りの質感、あのクルマには敵わない
ハイブリッドのパワートレインの存在感は決して強くないが、それでも最高出力はシステム総計で225psもあるのでパワー不足は感じない。だがCセグメントの背が低いクロスオーバーというスタイリングから想像するほど軽快という感じもしなかった。 高速を走っていて気になったのは、なんとなく姿勢がリア下がりになっているように思えたことだった。ストローク感のあるリアサスがゆっくりと動くのに比べ、フロントがいくぶん硬めなのでそう感じたのかも。 また今回燃料タンクはほぼ満タンで、さらにリア寄りに走行用バッテリーが搭載されていることでその感覚が助長されていた可能性もある。とはいえ1人乗りでそれはダメだろう。 またコーナーが続くような区間では、リアのダンピングが不足気味でピッチングの収まりが悪かった。これはオーバーハングが潔く切り落とされたリアスタイルとは相容れないドライブフィールだった。 今回DS 4のドライブフィールがすっきりと腑に落ちなかったのは、先月レポートしたシトロエンC5 Xの印象がすこぶる良かったことも影響している。何しろDS 4とC5 Xは全長以外のスペックはかなり似通っているのだ。 シロトエンらしい深みがある乗り心地を備え、動的質感のまとまりがいいC5 Xと比べると、DS 4のそれは少し煮詰めが足りていないように思えた。個性的な見た目が気に入ったのであれば買いだが、走りにもこだわりたいのであればそこは冷静に周囲のモデルと乗り比べてみる必要があると思う。
試乗車のスペック
価格:695万6000円(税込 オプションなし) 全長×全幅×全高:4415×1830×1495mm 燃料消費率:16.4km/L(WLTC) 駆動方式:FF 車両重量:1760kg システム合計最高出力:225ps システム最大トルク:36.71kg-m 一充電走行距離:56km パワートレイン:直列4気筒DOHC1598cc+ターボ 使用燃料:ガソリン 最高出力:180ps/6000rpm 最大トルク:25.49kg-m/1750rpm 電動機:交流同期電動機 定格出力:30kW 最高出力:110ps/2500rpm 最大トルク:32.63kg-m/500~2500rpm 駆動用バッテリー:リチウムイオン電池 ギアボックス:8速オートマティック タイヤサイズ:205/55R19(フロント)205/55R19(リア)
吉田拓生(執筆) 小川亮輔(撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)