パチンコ店経営者が語る「ホール経営の壮絶な舞台裏」。店員による“設定漏えい”被害も
資金に余裕がないと生き残るのは難しい
――パチンコ機スペック面以外にも、さまざまな変化があったと思います。長年業界に関わってきたAさんの目線で感じる「パチンコホール経営の難しさ」を教えてください。 A氏:ホールは導入するパチンコ・パチスロ台はもちろんですが、時折ホール周りの機器設備が莫大にかかりますね。最近では新札対応などありましたが、その時の規制などに対し、柔軟に対応できるだけの余力があるホールしか生き残れないと思います。ちょっとした設備投資やメンテナンスも数千万くらい軽くかかりますから。 少し余談ですが、いま現在ホール運営をされている若い経営層は、パワフルな方が多いなと感じます。自社機を作ったりコンセプト的なホールを開店したりと、なんでも本気で挑戦することは凄いし尊敬します。
店員による設定漏洩被害にあったことも…
――ちなみに長年ホール経営を続けているAさんが経験した、ホールで起きた事件があれば教えてください。 A氏:とても悲しいことですが、たまに従業員による不正がおきますね……。ホールのスタッフがパチスロの設定を外部に漏らすことも、昔からよくある不正の手口です。この不正は、情報を漏らす人や実際に打つ人が入れ替わるため、二重三重に隠されていて発覚しにくいことが多くて……。それでも、今は監視カメラも多いですし、不正はいつか必ず明るみに出ます。悪いことは続かないものです。 あとは金の持ち出し系かな。酷かったのは2カ月ずっと金を抜かれて、退職金以上の金を使われていたことがありました。しかもそれは東北大震災の被災地支援で募ったお金だったので余計にショックでしたね。
パチンコ店の「閉店ラッシュ」は止まるのか
――それでは最後に、今後のパチンコ業界について、どのような動きになっていくとお考えでしょうか。 A氏:コロナ禍も終わり、今はどの業界も転換期に入っていると思います。パチンコ業界では閉店する店が増えていますが、個人的に今年の年末あたりが底かなと……。新札への対応、スマート系遊技機の導入、ユニットの交換などの手間と金がかかることは、一旦ここで落ち着きますので、閉店ラッシュも少し落ち着くのではないでしょうか。今年を乗り切れば、来年以降の経営は今より見通しは明るくなるでしょうね。私は毎日開店前に並んでいただくお客様を見ると「この業界はまだ大丈夫だ!」と元気をもらえますよ。 * * * ホール経営を行う若き社長は、ホールだけでなくメーカーやユーザー、すべての動きを見据えつつ日々の運営を行っていた。インタビュー後編は、最近解禁された告知系ライター来店など、リアルなホール事情を掘り下げていく。 取材・文/バリンコン 編集/セールス森田 【バリンコン】 パチンコ攻略誌の編集を9年間務めた後フリーの編集者へ転身。多数のメディアやメーカー等業界内に広い人脈を持つ。日々取材をこなしながら業界内の情報を収集中
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