牛丼業界、もはや牛丼メーンでは戦えない?
しかし、東京チカラめしの「煮る牛丼」に、消費者の反応は鈍かったようです。結局、同社としては「既存牛丼店と同質化・比較化される」と判断。今年に入り、煮る牛丼の本格導入は断念したといいます。現在は、多様な定食メニューの展開に力を入れています。 煮る牛丼はやめる。同じような判断を下していたのが、丼ものチェーンのなか卯です。なか卯は2014年2月12日、牛丼の販売をやめました。それに代わるメニューとして「牛すき丼」の販売を開始しています。真っ正面から牛丼で戦う路線から外れたといえます。 東京チカラめしを運営する三光マーケティングフーズは「ファストフードとして、国民食として、これまでの牛丼は低価格でなければいけなかった。しかし、食材原価の高騰は事業収益を圧迫する。このままでは存続できなくなる」と危機感をにじませます。 その打開策として「牛丼メーンでなく、サブ的に牛丼を位置づけるか、高付加価値のメニューや定食メニューの開発」をあげます。 もはや、牛丼メーンではやっていけないーー。背景には、円安による原材料の値上がり、4月の消費税アップがあります。そうした業界弱者の悲鳴は、牛丼の値下げ合戦を避けて、相次ぎ牛すき鍋に参入する大手3社にも相通じる思いでしょう。 文教大学国際観光学科の横川潤准教授(フードサービス・マーケティング論)は「普通の牛丼では、どの社も利益が出にくくなっている。トッピングや別メニューで客単価を上げる方向に向かわざるを得ないのでは」と話しています。 (文責・坂本宗之祐)