角田裕毅「イモラは最も走り込んだサーキット」第2のホームで見違えるほど成長した走りを見せる
イモラで行なわれるエミリア・ロマーニャGPは、チームのファクトリーがあるこの地域に住んで3年になる角田裕毅にとって、第2のホームレースだ。 【写真】名カメラマンがとらえたアイルトン・セナ名場面フォトギャラリー! ファクトリーからは大勢のチームスタッフが観戦に訪れるだけでなく、昨年は洪水被害の影響で中止となり2年ぶりの開催となるだけに、思いもひとしおだ。 「去年は災害で中止になってしまいましたけど、地元地域の人たちに少しでもエネルギーを与えられるようないいレースがしたいですし、ファクトリーからも大勢のスタッフがレースを見に来るので、チームに感謝できるような走りをしてQ3・ポイント獲得を目指してがんばりたいと思っています」 角田にとっては、自宅から通うグランプリ週末になる。 「僕にとってイモラは、F1で最も走り込んだサーキットのひとつだと思いますし、走る時はいつも楽しいです。いつもと同じように朝起きて家からすぐに来られるので、とてもいいですね。イタリアは第2のホーム、イモラは第2のホームレースです。僕はここの人たちや雰囲気が大好きなので、今のところイタリア以外に住むことは考えられないですね」 その走り込んだイモラは角田の得意なサーキットであり、マシンとしても今季はどんなサーキットでもオールラウンダーな速さを見せてきているだけに、苦戦をする要素はなさそうだと角田は見ている。 「クルマがコース特性に合うか合わないかもありますけど、今年は今のところどのサーキットでもいいパフォーマンスを発揮できているので、そこはあまり心配していませんし、ふだんどおりいけばいいと思います。 マイアミではかなりのポイントを稼ぐことができましたし、僕たちが毎戦進歩してきてクルマのベースラインのパフォーマンスが上がったことは証明されたと思います。今週末もいいパフォーマンスが見せられると信じています」
【予選は1/1000秒の戦い。入賞は優勝に等しい】 前戦マイアミGPでは好パフォーマンスを発揮し、一挙12点を獲得したRBだが、地元となる今週末のレースでのアップデートは投入しない。それでもマイアミに投入した新型フロアは高速域でのダウンフォースを増大させ、これがタイヤマネージメントに役立つと期待されている。 マイアミで優勝したランド・ノリス(マクラーレン)と同じように、角田が驚異的なタイヤマネージメントでミディアムを28周保たせたことが、セーフティカーでのピットインと7位入賞の大きな後押しになったことは記憶に新しい。それと同じような効果が、いや高速コーナーの多いイモラではそれ以上の効果が期待される。 「高速コーナーはタイムを稼ぐというよりは、どれだけスライドしないか、つまりどれだけタイヤに優しいか・優しくないかへの影響が大きいので、その点はアップデート前と後ではぜんぜん違うと思いますし、特にレースでのタイヤの保ちに関わってきます。今週末はその効果をしっかり発揮してくれると思っています」 もちろん、ヨーロッパラウンドの開幕戦となるこのエミリア・ロマーニャGPには、多くのライバルチームがアップデートを投入してくると予想される。大きなアップデートもあれば、ハースのように中国GPから3戦連続で投入してきたアップデートの集大成というチームもある。いずれにしても、マイアミGPよりは相対的なギャップが縮まることは間違いない。 そんななかでRBと角田に求められるのは、自分たちの手にある現状のマシンパッケージのすべてを引き出しきることだ。 「今週末はこれまでほどラクな戦いにはならないと思っていますし、僕たちとしては1/1000秒でもマシンから捻り出す必要があると思っています。もちろん今までだってラクな戦いではなかったですし、予選では1/1000秒の戦いで、入賞できれば僕らにとっては優勝に等しいと思っていました。今までやってきたように、今週もベストを尽くす必要があると思っています」
【第2のホームでQ3進出と入賞を目指す】 パーフェクトなレース週末をまとめ上げること。そのために、ひとつひとつのクオリティを徹底的にこだわること。 それは今シーズンの開幕からずっと、角田が目標として掲げ続けてきたことだ。そして、ほぼすべてのレースでやり抜いてきたことだ。 地元といえども決してラクではない今週末のエミリア・ロマーニャGPに向けて、Q3進出と入賞を目指して臨むことができるのは、今回もそれをやり遂げる自信があるからだ。 2年ぶりの第2のホームレースで、今季見違えるように成長した角田の走りを存分に見せてもらいたい。
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki