アルバルク東京で高値安定のプレーを続けるレオナルド・メインデルの哲学「我慢強くプレーできれば正しい状況判断に繋がっていく」
「誰が自分を守っているのかは関係ないですし、自分がどんなプレーをするのかだけに集中しています」
この試合、主にメインデルのマークについていたのはBリーグ最強のペリメーターディフェンダーと言えるローだった。A東京には帰化枠にライアン・ロシターがいることで、メインデルは3番ポジションでプレーする機会が多い。サイズやフィジカルで優位に立てる相手とのマッチアップが多いが、抜群の機動力とリーチの長さを誇るロー相手にはこれまでと同じようにはいかない。 しかし、ワールドカップ2023で強豪ブラジル代表の主力を務めるなど、トップレベルでの経験豊富なベテランは、激しいフィジカルコンタクトでやり合う中、簡単にシュートに持ち込めない状況でも冷静にアタックを続けることで、ローをファウルトラブルに陥れた。その結果、第4クォーターの終盤にベンチへと追いやることに成功し、さらに粘り強いディフェンスでローにビッグショットを決めさせなかった。そのため、メインデルがローとの1対1でアドバンテージを取ったことは大きな勝因となった。 「日本で学んだのは我慢強くプレーすることで、それができれば正しい状況判断に繋がっていきます。誰が自分を守っているのかは関係ないですし、自分がどんなプレーをするのかだけに集中しています。彼(ロー)は素晴らしいディフェンダーですが、自分も高いオフェンス能力があることは分かっています。正しい判断をして、正しいタイミングでシュートを打つことだけに集中していました。ディフェンスでは、彼のリズムを少しでも崩すことを心がけていました」 冷静に自身の役割を説明したメインデルだが、コート上の彼は冷静沈着というよりは、チームを勢いに乗せるビッグショットを決めると雄叫びを挙げ、観客にさらなる声援を求めるなど、感情を全面に押し出す闘将タイプだ。 メインデルは冷静さと共に熱さも、大事な部分と明かす。「ファンを味方につけ、感情を正しく使うことができれば、大きなアドバンテージが生まれます。そこの見極めが大事になっていきます」 前節、A東京は千葉ジェッツに74-75と惜敗した。だからこそ、ここで接戦を制し、同じミスを繰り返させなかったことは大きな意味がある。ここまで抜群の安定感を誇るA東京だが、それはメインデルの攻守に渡る高値安定のパフォーマンスがあるからこそだ。
鈴木栄一