ソフトバンクG出資のレモネード、DeFiで「不可能だった保険」を可能に──異常気象に困窮するアフリカの農家を救えるか【取材】
ケニアのインシュアテック「Pula」と手を組む
プーラは国連の世界食糧計画(WFP)と共同で、ナイロビから180キロに位置するキトゥイ郡の農家に農産物保険を提供する活動を行った。3年間で同地域の1万人の農家が保険に加入した。 キトゥイは、ケニアの主食「ウガリ」の原料であるメイズ(トウモロコシ)の産地でもある。ウガリはスワヒリ語で、メイズやキャッサバなど穀物の粉を湯で練り上げた、アフリカ各地で日常的に食されている伝統的な食品。 アフリカ最大の経済国で、2億人が住むナイジェリアでも、プーラは同様の取り組みを行ってきた。ナイジェリア中央銀行と連携して、同国の綿花とコメ農家などに保険を普及させ、2020年の1年間で54万の農家が加入した。 「プーラは既に小規模農家に対する保険販売の実績があり、ケニアやナイジェリアの農業コミュニティとの太いパイプを持っている。レモネード・クリプト気候連合にとって、重要なローカルパートナーだ」(コンフィーノ氏) アフリカ全体の人口は約14億人。そのうち小規模農家の数は3億人で、大陸の労働力の過半数を占めると言われるが、大多数は農業保険に加入することができない。 国連の世界気象機関(WMO)が2023年にまとめた報告書では、アフリカの農業生産性は1961年から3割近く下落しており、その主因は気候変動による異常気象によるものとしている。 レモネード・クリプト気候連合が開発する保険の商業化時期について、コンフィーノ氏は「正確な時期は伝えられないが、一刻も早く数百万、数千万のアフリカの小規模農家に提供できるようにしなければならない。気候変動に関連した災害はより深刻で、待ったなしの状況だ」と話した。 |インタビュー・文:佐藤 茂|トップ画像:アフリカの農業従事者のイメージ画像(レモネード財団)
CoinDesk Japan 編集部