英国の財政余力、当初想定より少ない見込み-予算責任局が誤り
(ブルームバーグ): 英国政府が支出に回せる予算は180億ポンド(約3兆5600億円)少ないことが判明した。予算責任局(OBR)の計算が誤っていたためで、スターマー政権として初の予算案を巡る懸念が一段と強まる恐れがある。
OBRは10月30日、今年3月に発表した公的部門の純債務見通しに誤りが含まれていたと脚注で説明していた。この指標はリーブス財務相が設定した新たな財政規則の一つに使われている。
OBRは当時、2028-29年度の財政余力を620億ポンドとしていたが、最近になって439億ポンドに修正した。リーブス財務相が頼れる財政バッファーは実際180億ポンド少なかったことになり、市場も再計算を迫られる可能性がある。
OBRはコメントを控えた。
「これほど重大な計算ミスであれば、英国債投資家や格付け会社の信頼をある程度後退させることになる」とスコープ・レーティングスのシニアディレクター、デニス・シェン氏は述べた。
今週の英国債の急落は、リーブス氏が財政余力をより多く残すだろうと予算案発表を前に予想されたことも一因だろうと、アナリストは指摘していた。今後5年間で1420億ポンドの追加借り入れを行う計画などリーブス氏の予算措置を踏まえると、財政バッファーはわずか157億ポンドとなる。
ブルームバーグ・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ダン・ハンソン氏は「予算案発表前の市場の期待は、リーブス財務相が投資のために借り入れるとしても、健全な水準の財務余力は残すだろうということだった」と指摘。「だが、財政余力はわずかでしかなかった。借り入れが予想以上だったこともあるが、OBRが財政余力を過大に報告していたこととも大いに関係がある」と語った。
原題:Reeves’ UK Budget Buffer Was Cut £18 Billion by OBR Correction(抜粋)
--取材協力:Andrew Atkinson.
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Tom Rees