新型コロナショックのJリーグが最大約300億円の大型融資枠を取りつけた舞台裏とは?
緊急事態宣言が発令された後も猛威を振るい続ける新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、公式戦の長期中断を余儀なくされているJリーグが、今後さらに起こりうる不測の事態に備えたリスク対応策として、金融機関から最大で約300億円の大型融資を受けられることになった。 金融機関と企業の間で一定の融資枠と契約期間をあらかじめ設定。企業側に急きょ資金調達の必要性が生じたときに枠内でいつでも借り入れられる、コミットメントラインと呼ばれる融資枠を金融機関との間で設定することが、28日に行われたJリーグ理事会書面決議で承認された。 金融機関名や融資枠、期間など個別の契約内容は非公開とされているが、その後の報道では三菱UFJ銀行と政府系金融機関の商工組合中央金庫の名前があがっている。さらにJリーグを通じて発表されたコメントで、村井満チェアマンは契約金額についてこう言及している。 「必要なときに十分な資金を調達できるように、金融機関と交渉してきました。本日の理事会書面決議で、リーグの年間予算とほぼ同額のコミットメントラインの設定を承認いただきました」 すでに執行されている今年度予算では、収入の合計となる経常収益計が291億6800万円、支出の合計となる経常費用計は304億5900万円となっている。これらの数字と村井チェアマンのコメントから、2つの金融機関と合計で約300億円のコミットメントライン設定で合意したと見られる。 他のプロスポーツに先んじて公式戦を中断させた2月下旬から、村井チェアマンは4つのプロジェクトを発足させ、再開への準備を進めてきた。そのひとつである財務対応チームは56を数えるJクラブとコミュニケーションを密にしながら、非常事態下にある経営情報を交換してきた。 そして、この先に資金繰りに窮する事態に備えて、2つの施策を決めている。ひとつが「分配金の一括前倒し支給」であり、もうひとつが「リーグ戦安定開催融資規定の時限的特例措置」だった。