ダイエット、健康につながる道路の指標!? ヘルシー・ストリート・インデックスとは
現代を生きる人々のウェルネス=心身の健康と幸福、を促進するためには、「街のデザイン」が重要です。今回は、リモートワークの浸透による座りがちなワークスタイルの増加、大気汚染に交通渋滞......山積みの課題を解決する健康的で住みやすい革新的な指針「ヘルシー・ストリート・インデックス(=健康的な街路指数)」を紹介します。ウェルネスを大切にする環境を評価し、向上させる画期的なツールといえるこの革新的なアプローチを知り、各国の事例を見てみましょう。
はじめに
WHOの2024年3月のデータ(※1)によると、1990年以降、成人の肥満は世界中で 2 倍以上に、思春期の肥満は 4 倍に増加し、各国で大きな課題となっています。日本でも厚生労働省はメタボリックシンドローム該当者の減少(2008年度比マイナス25%)を掲げ、医療費の200億円削減を目標にしています。(※2) 肥満に起因、または関連する健康障害が予測され、医療機関への負担軽減や医療費削減のためにも肥満人口の減少が世界的な目標となっています。「肥満は個人の問題」という考えから「肥満人口の減少への取り組みは地域社会や政府の課題である」と考えられるようになってきているのです。
2022年データ ・世界の 8 人に 1 人が肥満を抱えています。 ・25 億人の成人 (18 歳以上) が過体重で、そのうち 8 億 9,000 万人が肥満 ・18 歳以上の成人の 43%が過体重で、16%が肥満 ・5 歳未満の子ども 3,700 万人が過体重です。 ・5~ 19 歳の子供と青少年の 3 億 9,000 万人以上が過体重で、そのうち 1 億 6,000 万人が肥満 WHOの診断基準では、BMI(体重[㎏]/身長[m]2)が 25kg/m2以上を過体重、BMI 30kg/m2以上を肥満と定義していますが、日本では日本肥満学会(※3)によりBMI 25kg/m2以上が肥満と定義されています。 ※1:WHO「Obesity and overweight」 2024年3月資料 ※2:厚生労働省 2022年資料 ※3:一般社団法人 日本肥満学会