「バイトを弾かない」飛距離至上主義へのアンチテーゼ。アングラーが必要な性能を突き詰めたニューモデルが登場
ただ飛ばせればいいわけではなく、近距離の弾きにくさも欲しかった
ある日、久保田氏が湘南のサーフで大型のシーバスを連発させる事があり、その際に言われたのが、「波打ち際でのバイトが多発するとソフトなティップでなければヒットに持ち込めない」という事だった。サーフ向けと言えば、第一に飛距離と言われるのが道理ではあるが、すべて遠投してのヒットだけでなく、真っ暗闇のサーフでは波打ち際がフィーディングゾーンとなりやすく、ティップまでハリ感が強い①の試作モデルてはバイトを弾きやすい。また、大型河川の河口エリアでは、流れが有る状況でバイトを弾く傾向があるため、必然的に②のソフトなティップのモデルが必須となってくる。 これは両テスターでも同意見であり、結論として遠投性能の残しつつ、バイトを弾き難いティップのモデルにて完成に至ったわけである。最初期のロッドと、最終プロトを比べたら、ここまで違うのか?と笑ってしまうくらい開発で変化が有ったモデルだった。改めてロッド作りの難しさと、面白さを再認識したモデルでもあったと思えた。 開発担当者からのメッセージ 主たるターゲットのシーバスは、フィールドによって求められる要素が変わるので、全国どこのフィールドでも通用するように仕上げたつもりだ。一度手に取っていただきたい。サブネームにも入れた、Variable Distance(バリアブルディスタンス)の意味を感じ取っていただければさいわいだ。
舟木雄一(ふなき・ゆういち)
テンリュウ釣具事業部に所属し、さまざまなジャンルの製品開発に深く携わる。幼少期からトラウト、バスに加えてソルトの釣りを経験してきたマルチアングラー。