「バイトを弾かない」飛距離至上主義へのアンチテーゼ。アングラーが必要な性能を突き詰めたニューモデルが登場
テンリュウのシーバスロッドシリーズSWATに、この秋『SW1072S-ML Variable Distance』が追加ラインナップされた。広大なエリアに対応するロングモデルで、テンリュウならではのしなやかなパワーを持ったアイテムになっている。このロッドの詳しい特徴をテンリュウ釣具事業部の舟木雄一さんが解説。 【画像】「バイトを弾かない」SWAT SW1072S-MLのスペックと価格
柔軟で力強いパワーを持つ「SWAT SW1072S-ML Variable Distance 」
2024年秋、スワットシリーズに新たなモデルが追加される。10ft7inのロングモデルとなるこの機種は、果たしてどのような特徴を持っているのか? その詳細を見ていこう。 コンセプトは遠近対応ロングモデル。広大なサーフエリア、大規模河川の河口エリア等で顕著な遠投性能を実現するレングスと、波打ち際など近距離でのバイトを拾うソフトなティップを持たせ、遠近両方のターゲットを攻略する。シャープなキャストフィールの中に、大型シーバスをいなす柔軟で力強いパワーを併せ持たせている。 シーバスロッドであることを基準に、適度な遠投性能とソフトなティップセクションが特徴だ。広大なサーフエリアや大河川の河口エリア等では、遠投で探るだけでなく、ナイトゲーム等で波打ち際でのバイトも拾える調子を求めた。遠投重視のロッドを求めだすと、反発力を出すために張りが強くなる傾向がある。 飛距離こそ出てもティップまで硬くすると、シーバスをはじめとしたターゲットは吸い込むバイトを行うため、張りが強いロッドではテンションが掛かりすぎて上手くフックまで吸い込まれない事がおきる。いわゆる『バイトを弾く』という現象だ。貴重なバイトチャンスを逃したくないのはすべてのアングラーが求めることだろう。そのためサーフ向けのロッドとしては珍しい、しなやかなアクション(調子)が特徴のモデルに仕上げてみた。 前作であるSW107MLと比べると、まったくの別物に仕上がっている。ティップの『しなやかさ』は継承しつつも、全体的にシャープで振り抜き感が向上したのと、バットにはC・N・Tをコンポジットしているのでネバリ強さが増している。同シリーズ内で言えば、軽いルアーならSW932S-LMLが良いし、汎用性を求めるならSW972S-MLが素晴らしい。 汎用性に遠投性能を加味するとSW1072S-MLが良いだろう。SW1163S-Mでは、メインフィールドが平磯でありヒラスズキが主体のロッドになる。パワーマスターサンドウォーカーPMS1032S-MLMでは、SW1072S-MLよりも半ランクパワーが強く、使えるルアーの幅やラインも少しだけ強めに設定できるので、ヒラメ狙いなどではPMS1032S-MLMのほうが出番となるだろう。 ど真ん中と言えるルアーウェイトは、20~25gのミノーをはじめとしたプラグ類だ。下限では8~10gのプラグ類で、上限として45gまでのメタル系ルアーをフルキャスト可能だ。プラグ類の上限としては40gほどまでが気持ちよく振り抜ける。下限~ど真ん中となるルアーウェイトはSW972S-MLとあまり差は無いが、MLパワーの範囲では上限値が高く汎用性の広さを感じられるはずだ。 おそらく問い合わせで多いと思われるのが、D社のLT3000番、S社のC3000番ではダメなのか?という事だろう。推奨値よりも小型であっても問題はない。気にしたいのはスプール口径であり、口経が大きいタイプは、キャスト時に抵抗が少なく飛距離に直結するからだ。なぜかと言うと、小口径のスプールの場合、キャストしてラインが放出されるとスプールに巻かれているラインの直径が細くなるのが早く、スプールエッジにラインが当たる抵抗が強くなるため失速しやすくなってしまう。 【推奨リールサイズ】 DAIWA社 : LT4000~LT5000番 SHIMANO社 : 4000~C5000番 対してスプール口径が大きいと、キャストしてもスプールに巻かれているラインの減少が緩やかで、抵抗が大きくなるのを防げるからだ。遠投競技などで大型リールを使うには、そういった理由が存在している。実釣の面においても、小型でハイギアにすれば軽量化は図れるのだが、遠投を視野に入れる際にはスプール口径を気にしてリールを選ぶように心掛けたい。 【推奨ライン】 PEライン : 0.8~1.2号 リーダー : 16~25lb ラインの太さに関しては、細いほど遠投能力は見込めるし、太いほど大型がヒットさせた時の余裕が生まれてくる。フィールドによってだが、マルスズキが主体ならPE1号に20lbリーダーを組めばランカー級にも充分対応は可能になる。ただし、フィールドによっては青物や、オオニベなど弩級のサイズがヒットしてしまうエリアも有るので、PE1.5号 ・リーダー30lb程までを上限にバランスを組んで頂きたい。ただし、あくまでラインパワーは16lb級であり、ドラグ値は2kg以内に設定するのが望ましい。まぁ大概は、1kgのドラグ設定なら余裕を持ってランカー級のシーバスをキャッチできるだろう。