英独仏の首脳が憤怒…「マスク氏は限度を越えた」
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の欧州諸国に対する「内政干渉」に各国首脳が反発している。マスク氏が来月に予定されるドイツ総選挙で極右勢力に分類される政党への支持の意思を明らかにすると現地では「限度を越えた」という批判が出ている。 【写真】トランプ次期米大統領とイーロン・マスク氏 マスク氏はドイツの極右政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」に対し、先月20日にSNSで「AfDだけがドイツを救うことができる」とした。ドイツのある週刊誌にも同じ趣旨の内容で寄稿し、9日にはこの政党の首相候補であるアリス・ワイデル共同代表との対談も計画している。 同時に現職のショルツ首相とシュタインマイヤー大統領を狙い、それぞれ「無能なばか」「反民主暴君」としながら批判世論をあおっている。 これに対しショルツ首相は「新しいことではなく冷静さを維持しなければならない。トロール(目立ちたがり屋)にえさを与えるな」と話した。ドイツ政府報道官も「この国の大多数は正常で品格がある。マスク氏の嘘や個人の意見が人口8400万人のドイツに影響を及ぼすことはできない」と明らかにした。 マスク氏は英国のスターマー首相ともオンラインで言い争いをしている。彼はスターマー首相が2008~2013年に検察局長だった時代に児童性搾取事件を隠蔽したという英国内の極右勢力の主張をSNSで引用し辞任を主張している。 スターマー首相は6日、「政治の激しさと活発な討論を楽しむが偽りではなく事実と真実に基づかなければならない」として事件を隠したという一部の主張に対し「限度を越えた」と不快感を示した。 これに対しマスク氏はSNSに再び投稿し、「卑劣なスターマーは政治的利益のため幼い少女と親たちの呼び掛けを無視した」とした。 第2次トランプ政権に影響力を持つ実力者に浮上したマスク氏の相次ぐ奇行にフランスのマクロン大統領まで関連した言及をした。マクロン大統領はフランス大使らとの新年会で「10年前だけでも世界最大のSNS(X)の所有者が国際反動運動を支援しドイツなどの選挙にまで介入するだろうとはだれが想像しただろうか」と話した。 ノルウェーのストーレ首相もやはり現地公営放送で「SNSに対する莫大なアクセス権と経済的資源を持っている人が他国の内政に直接的に関与することが懸念される」と話した。続けて「民主主義と同盟国の間にこのような形はならない」と指摘し、マスク氏がノルウェーの政治にも干渉しようと試みれば政界が団結して彼と距離を置かなければならないと主張した。ノルウェーも9月に総選挙を控えている。