フェラーリ、カナダGPは今季最悪の週末に。バスール代表「何もかもうまくいかなかったが、まだシーズンは長い」
フェラーリにとって、F1カナダGPはまさに今季最悪の週末だった。2台が予選Q3に進めず、決勝レースでは2台がそれぞれ苦しいレースを戦うことになったのだ。 【リザルト】F1第9戦カナダGP:決勝結果 11番手からスタートしたシャルル・ルクレールは、序盤からエンジントラブルに見舞われ、パワーが低い状態でのレースを強いられた。 25周目にローガン・サージェント(ウイリアムズ)がクラッシュしたことにより出動したセーフティカー走行中にピットインしてシステムを再起動し、他のマシンよりも早めにスリックタイヤにスイッチしたものの、結局40周を完了した後レースをリタイアすることになった。 12番グリッドのカルロス・サインツJr.は、スタート直後の混乱の中での接触でダメージを負うと、53周目にはスピンを喫し、避けきれなかったアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)と接触。こちらもリタイアに終わった。 フェラーリのフレデリック・バスール代表は、まさに散々な週末だったと振り返った。 「(うまくいかなかったことの)リストは長くなるね。シャルルは、2周目にパワーの一部を失った。(サージェントのクラッシュで)赤旗が出ると思っていたので、パワーサイクル(再起動)を行なって復帰しようとしたが、赤旗はでなかった」 「モナコでは赤旗が出たが、モントリオールでは出なかった。ピットインしなければならず、1周近くロスしてしまったが、それで済んだ」 「カルロスの方はターン2で良いポジションにいられず、ボッタスと接触してフロントウイングとフロアを傷つけてしまった」 ルクレールのトラブルについては、エンジンの制御系に問題があったとバスール代表は考えているようだ。 「まだ詳細は分からないが、エンジンそのものだけでなく、エンジンのコントロールが原因だと思う。(ピットで)パワーサイクルを1回やったけど、30秒か40秒かかった。今季最高のピットストップではなかったね」 モナコGPでルクレールが優勝し、カナダでもフェラーリが優位なのではないかと見られていた中で、苦しい週末を過ごしたフェラーリ。ドライバーたちのフラストレーションに理解を示しつつも、今後のレースも同じようなアプローチを続けていくと語った。 「金曜日はペースが良かった。土曜日はコンディションがトリッキーだったし、何台か同じ問題を抱えていた。詳細は省くが……今日のペースには自信があった。すべてがうまくいかなかったし、今シーズンの良くないところが同じ週末に集まった感じだ」 「シャルルはオーバーテイクのチャンスもなく、エンジニアに80馬力も足りないと言われたら、このような状況でモチベーションを見つけるのが難しいのはよく理解できる。カナダでこのパワー不足ではオーバーテイクできない。もし彼がこのコンディションでイライラしていなかったら、私は心配していただろう」 「時にはすべてがうまくいかず、不利な方向に進んでいるように感じることもある。いいときも悪いときも、ドライバーたちとともにチームとして取り組んでいるし、来週末も同じアプローチで一緒にやっていくつもりだ。このような週末でもまったく気にしていない」 カナダGPではジョージ・ラッセルがポールポジションを獲得するなど、メルセデスが大きく一歩前進した印象を受ける。 バスール代表も、今はこれまで以上に上位が僅差な状況となっており、完璧な週末を過ごす必要があるとしつつも、カナダGPを引きずるべきではないと語った。 「我々は前戦から何も変えていないんだ。モナコはレッドブルにとってタフな週末だったが、今週末は我々にとってタフな週末で、10分の1以内に3、4台がいる、そんな感じだ」 「肝に銘じておかなければならないのは、まだ16レースも残っているということだ。2016-2017シーズンと同じような感じだ。チャンピオンシップはまだ目の前にある。確かに、いい週末もあれば悪い週末もあるだろうが、重要なのは同じアプローチを続けること、開発を続けること、問題を解決し続けることであり、モチベーションを下げないことだ」 「週末によって違うからわからないが、6~8台がコンマ1秒、時にはコンマ2秒の差にいる。完璧な週末を過ごさなければ、前に出ることはできない。準備、ピットストップ、戦略の面でミスは許されない。今週末を見れば非常に厳しい状況だが、すべての問題を分けて考えなければならない」
松本 和己