駒澤大・篠原倖太朗 “涙”を流したあの日...救ってくれた存在とは 「強い駒澤」を次世代へ紡ぐ挑戦の1年
第101回箱根駅伝で2年ぶりの総合優勝を狙う駒澤大学。今シーズンのチームスローガンは「原点と紡(つむぐ)」です。主将の篠原倖太朗選手が“強い駒澤”を紡ぐ、挑戦の1年を追いかけました。 【画像】あと一歩のところで全日本5連覇を逃した駒澤大学 アンカーの山川拓馬選手は厳しい表情で力走した
■前回大会終了後の翌日に誓った思い
篠原倖太朗選手が初めて箱根駅伝を走ったのは2023年、2年生で迎えた99回大会。3区を任されると、絶対的エース田澤廉選手(当時4年、現トヨタ自動車)から、青山学院大学とほぼ同時でタスキをもらいスタート。残り3キロ地点で青山学院大学の前へ出て、区間2位の快走。4区の鈴木芽吹選手(当時3年、トヨタ自動車)にタスキをつなぎ、大学駅伝3冠に貢献しました。 翌年、節目の第100回大会では、史上初となる2年連続大学駅伝3冠に王手をかけていましたが、青山学院大学に敗れ2位。1区を走った篠原倖太朗選手は区間賞でしたが、涙をこらえきれませんでした。 翌日の4日から新チームが始動。 「箱根駅伝で優勝するのは駒澤じゃなければいけない」 新チームのキャプテンに就任した篠原倖太朗選手が挨拶の場で語った言葉です。 この時すでに決めていたとキャプテンが話すチームスローガンが「原点と紡(つむぐ)」です。この言葉に込めた思いとは「自分の中で印象が強い先輩たちを自分が今受け継いでいる、紡いでいる。自分も後輩たちに紡いでいってほしいなと思ってつけました」と語ります。
■トラック不振の春 「チームのため」キャプテンの決断は?
紡ぐ、それは自分だけが強くなることじゃない。 5月、関東インカレでは、チームの成績が落ち、このままでは駅伝シーズンを戦えない。キャプテンはある決断をします。 スイスでの高地合宿をキャンセルし、チームに残って部の夏合宿に参加。海外合宿は大八木弘明総監督に声をかけられたチームのトップ選手のみが参加できます。 過去には前年のキャプテン鈴木芽吹選手と同部屋でアメリカでの海外合宿を経験。今季は個人よりもチームのレベルアップへ。大事な夏場をチームのために使いました。 しかし、この決断には鈴木芽吹選手も驚いたようで、「篠原が抜けてみんなに頑張ってもらうのもそれはそれでアリなんじゃないか」と声をかけたそうでが、「それでもやる」と、意思は固かったといいます。 すべては「強い駒澤」を作るため。チーム練習では後輩の設定タイムに合わせ、練習を引っ張ります。彼らに自信をつけてもらいたい。そんなリーダーシップあふれる行動に、3年生の山川拓馬選手は「チームのために残ってくれたのはすごくありがたいです。本当に頼もしい」と信頼を口にしました。