駒澤大・篠原倖太朗 “涙”を流したあの日...救ってくれた存在とは 「強い駒澤」を次世代へ紡ぐ挑戦の1年
■後輩の成長と悔し涙のキャプテン 救ってくれたのは慕う先輩の電話
10月、駅伝シーズンが開幕。初戦の出雲駅伝では、篠原倖太朗選手の思いに応えるように後輩たちが奮起し、山川拓馬選手が3区区間2位、4区の伊藤蒼唯選手(3年)は一時先頭に立ちます。 アンカー6区の篠原倖太朗選手は、トップの國學院大學とわずか4秒差の2位でタスキを受け取り、スタート。すぐさま前を走る國學院大學のエース平林清澄選手をとらえ、並走します。しかし少しずつ離されて、2位でフィニッシュ。チームメートに「申し訳ない」と謝り、涙を流します。「チームにあそこまで迷惑をかけたのは初めてだった」といいます。 大会後、すぐに電話をかけた人がいます。それは前キャプテンの鈴木芽吹選手です。「(篠原選手が)泣きながら電話してきたんですけど。僕は篠原が夏合宿でチームに残って頑張ってきたことが1区から5区までの選手の頑張りだと思って見ていたので、2位までいけたのは篠原の力だと思うよと言いました」と。 誰より慕い信頼する先輩からの言葉。翌朝再び前を向き練習に向かう姿がありました。
■“強い駒澤”を受け継ぐ次世代 区間17位で涙を流す1年生に渡したものとは
11月、全日本大学駅伝。出雲駅伝では1区区間6位と快走した桑田駿介選手(1年)が、2区で区間17位と沈み、トップから2分以上離される苦しい展開へ。7区を走る篠原倖太朗選手は、5位でタスキを受け取りました。 「この順位で彼(桑田)が責任を負ってしまうことになると思ったので、少しでも前でタスキを渡せたらと思って走りました」 後輩に責任を負わせまいとキャプテンが、順位を2つ上げる走りで区間賞を獲得。アンカーの山川拓馬選手も区間賞の走りで、駒澤大は一時16位に沈みながらも、最終的に2位でゴールしました。 閉会式の後、涙を流す桑田駿介選手にキャプテンが声をかけます。 「(悔しさを)忘れないで。部屋に飾るんだよ」と言って手渡したのは、閉会式でもらったばかりの区間賞のトロフィーを期間限定の貸し出し。いつか自分で区間賞を獲得するその日までと。 先輩から受け継ぎ、紡いできた“強い駒澤”を今度は後輩へ。「原点と紡」その目標を掲げた駆け抜けた1年間。ともに過ごした仲間たちとの最後の箱根駅伝へ。 篠原倖太朗選手は「区間賞を取りたいなとは思いますけど、まずはチームを勝たせないといけないので。優勝できればそれはそれで本望です」と白い歯をのぞかせました。