■電話をかけたときの「よろしいですか」で相手を思いやる 　なかには、急に電話がかかってくると「配慮がない」と一蹴する人もいます。動画の配信中に知人から着信があって、「急にかけてくるな」と怒りをあらわにするシーンを見てしまうなど、現代ならではのアクシデントも存在します。ですが、人はそれぞれ多様な考えの中で暮らしています。 　電話をかけてきた相手も、もしかするとテキストよりも電話で話したほうが伝わりやすいという相手への配慮から、電話をかけた可能性もあります。理由もわからず怒るのではなく、相手のことを思いやり、受け入れる心の余裕を持っていたいものです。 　センスのいいビジネスパーソンは、電話、メール、チャットなど複数の連絡手段を相手に応じて使い分けます。メールやチャットには記録が残る良さもあります。今のベストな連絡手段は何かを考え、最適な選択肢をとっていくのがいいでしょう。 　最近は電話が苦手な人も増えています。ですが相手によっては、例えばスマホより従来の電話に慣れた高齢者など、電話のほうが喜ばれる場合もあります。自分が苦手だから電話以外のツールを使うというのは、相手視点に欠けます。 　プライベートであれば、自分の都合でツールを選ぶこともありですが、ビジネスシーンにおいては、相手にとって最適な連絡ツールを使う気配りは必要です。 　繰り返しになりますが、マナーの基本は「相手への気遣いと思いやり」です。いつの時代でも、相手に対して何がベストかを考えて行動することで、いい人間関係が築けるでしょう。 　※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年10月4日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 髙田 将代（たかだ・まさよ） マナーコンサルタント 国宝・當麻曼陀羅を有する奈良の當麻寺に生まれる。大学卒業後、伊藤忠商事に勤務。フィニッシングスクールなどで学んだ後、マナー講師となる。全国各地で研修や講座を行う。著書に『オトナ女子のふるまい手帖』。 ----------