選挙で“推し”がいない人に、政治家とケンカするほど対話した50代女性が伝えたいこと
今より悲惨にならないために選挙に行く
――ネットで自分の考えに近い政党を選べる「政党マッチング」みたいなものもありますが。 和田:政治をよく知らないと、何を聞かれているかマッチングの質問自体がわからなかったりするんですよね。とりあえず選挙に行けば、自分が投票した人が当選したか落選したかは知りたくなるものだから、それが第一歩だと思うんですよね。だからまずは行ってほしい。 そもそもこんな呑気なことを言っていられるのも幸せなことですし。もし今私たちがイスラエルにいたとして、選挙があるなら絶対に行くじゃないですか。私たちだって、いつ戦争に巻き込まれないとも限らない。だから、積極的に推したい人がいなくても、この生活を変えないために選挙に行く、で良いと思うんですよ。 みんな幸せになりたいと思って神社にお参り行くけど、神様は何もしてくれない。でも、選挙に行ったら、それで社会がすぐ変わるわけじゃなくとも、悪いほうに変わる何かを実はちょっと止めているかもしれない。 ――すぐに何かが変わらなくとも、これ以上悪い方向に進まないように抑止力としていくわけですね。 和田:あれだけの執念で憲法を改正したいと言っていた安倍晋三さんも、通算8年8カ月も首相の座にありながら、結局、変えられなかった。そこには、憲法を変えさせないように頑張る政治家がいて、それに投票した私たちがいたわけです。 何か良い方に大きく変えることはできないかもしれない。私が太り過ぎだと医者に相談しても、なかなか痩せないように。でも、毎日体重計にのっていれば現状維持はできるように、選挙に行けば今より悲惨にはならない。現状維持はできるかもしれない。 さらに、自分だけが選挙に行くのではなく、友達や周りの人に選挙に行こうよということで、もしかしたらもう1歩いい社会に近づくかもしれないと思います。
田幸 和歌子