自動運転バス 日立市 レベル4実験 25年2月から 一般道で全国初 茨城
自動運転バスの走行実証が行われてきた茨城県日立市で2025年2月、運転手が不要になる「レベル4」でバスを走らせる実証実験が始まる。一般道にカメラやセンサーを設置し、車両側と連携しながら走行できるようにする。国の「デジタルライフライン全国総合整備計画」の一環で、一般道では全国初の試みという。 実験はJR大甕駅周辺の約2キロを「自動運転サービス支援道」(自動運転レーン)として整備して行う。右左折や停発車をサポートするため、交差点やバス停など約10カ所に車両や歩行者を検知するカメラ、センサーを設置する。 実験では道路側のカメラやセンサーから得られた情報を、適切に車両側と連携する「路車協調システム」の技術を検証し、データ連携基盤の開発にも役立てる。路上駐車を減らすなどの住民の理解促進や事業性も検証する。 運行主体は茨城交通(同県水戸市)で、自動運転ソフトウェア開発「ティアフォー」(愛知県名古屋市)の車両を使う。茨城交通は2018年度以降、同市のバス高速輸送システム「ひたちBRT」の専用道で、自動運転バスの走行実験を継続的に実施してきた経験があり、今年5月に完全自動運転に近いレベル4の許可を取得した。 今後、道路側のインフラを整備した上で、25年2月から3月にかけて、レベル4の走行実証を行う。その後、住民も利用できる路線バスの定常運行を始める。当面は車内に係員を配置し、26年3月ごろには乗務員が乗らないレベル4運行を目標とする。 実験に向けて同社などは今年9月、運転手が乗って一部操作が自動の「レベル2」でテスト走行を同駅周辺で繰り返した。カメラやセンサーを搭載した小型バスが日立製作所の工場周辺や国道245号などを最大で時速35キロで走行。自動運転タクシーをアプリで配車する実験も行われた。 政府が6月に策定したデジタルライフライン全国総合整備計画の中で、日立市は24年度に自動運転レーンを導入する先行地域に指定された。高速道路では新東名高速道にも設置され、国は25年度以降、全国に広げる方針だ。 茨城交通を傘下に持つみちのりホールディングス(東京都)担当者は「さまざまな事例を検証し、この地域の取り組みを全国に展開していければ」としている。
茨城新聞社