滋賀県庁本館改築85年、信楽焼の置物など当時の記念品発見 大津の男性所有
今年5月に改築から85年を迎えた滋賀県庁本館で、改築当時に配られた記念品の一部が見つかった。大津市在住の男性が所有していたもので、専門家は「当時の盛り上がりに触れることができる貴重な品々だ」と評価している。 【写真】清水焼の大型盃。「昭和十四年五月 滋賀県庁舎改築記念」の文字も ■3つの記念品を発見 現在の県庁本館は昭和14年5月16日に完成。地上4階、地下1階からなる鉄筋コンクリート造で、デザイン性に優れていることなどから、平成26年に国の登録有形文化財となった。 今回見つかった記念品は、銀製シガレットケース▽信楽焼の獅子置物▽清水焼の大型盃(さかずき)―の3点。いずれも大津市の喫茶店店主、高谷尊士さん(76)が自宅で保管していた。 3点は「昭和十四年五月 滋賀県庁舎改築記念」と印字されていたり、県庁の外観がデザインされていたりすることから、いずれも改築時に記念品として配布されたとみられるが、入手方法など詳細は不明だという。 ■来賓に信楽焼の置物 県庁本館の建設時の経緯をまとめた『滋賀県庁舎本館』(サンライズ出版刊)には竣工(しゅんこう)日の様子が記されている。 「式典には来賓七百名のほか、多くの県民、学生が参列しています。<中略>当日は、来賓には信楽焼の獅子の置物や風呂敷などが贈呈され、職員には記念の杯、絵葉書(えはがき)、折詰弁当が配られたといわれています。<中略>市中は沸き返る賑(にぎ)わいを呈したといわれています」 「獅子の置物」は県立公文書館所蔵の県庁舎改築書類につづられており、庁内作成の文書や見積書を確認すると、発注数が700個と記されている。『滋賀県庁舎本館』の記述からみても、改築時に記念品として来賓に配られたとみてほぼ間違いない。 価格は1個3円。原型は旧県窯業試験場(現県工業技術総合センター)の嘱託職員、川島雄三さんが担当し、試験場で製作されたとみられる。 また「記念の杯」は大型盃のことで、900個製作された。当時の職員数は864人で、こちらもおおよその数が合う。価格は1個50銭。京都市の業者に依頼したようだ。 ■高価な銀製品は誰に