「死んだ方が楽やった」課題残る“震災障害者”も支えた「相談室」記録を後世へ【震災30年つなぐ未来へ】
■「よろず相談室」の震災資料 「震災後の生活再建その後の人生を共に考えて歩んできた」記録
人と防災未来センターでは被災者から寄せられた震災資料、およそ20万点を保存していますが、個人情報の問題や、当時寄贈した人と連絡がとれないことなどから、公開ができていない資料も数万点。 それでも引っ越しや遺品整理をきっかけに、今でも毎月のように被災者や親族から寄贈されています。 【人と防災未来センター主幹 林勳男さん】「よろず相談室は、個人の抱えている問題に、1人1人寄り添いながら相談し、解決していこうとしていた。その人たちの震災後の生活再建、その後の人生をともに考えて歩んできた点は、社会から評価されるべきもの」 資料は研究に活用され、一部は今後、展示することも検討されています。
■よろず相談室のあゆみがこれからも問いかけ続ける
【牧秀一さん】「久しぶりやなあ」 ともに歩んできた震災障害者の人たちとの交流は、今も牧さんにとって大切な時間です。 【娘が脳に後遺症・城戸美智子さん】「(当時)牧先生と、小さいフロアで人がいっぱいの中で、鍋したり、お菓子食べたりして、しゃべっていましたね」 娘の洋子さん(44)が ピアノの下敷きになり、脳に障害を負った城戸さんは、支援を求めても相談窓口すらありませんでした。 【娘が脳に後遺症・城戸美智子さん】「言葉でどう説明したらいいか、言ってるうちに、自分もだんだんしんどくなってきて。あれができない、これができないとかで落ち込んでくる」 「震災から10年ぐらいは、(娘のことを)誰にも分かってもらえなくて、どこに行っても1から説明しないといけなかったので、よろずに関わってもらって、洋子ちゃんはこういう人と分かってもらえるから、すごく楽」 【両足に障害 甲斐研太郎さん】「普通の人に話を聞いてもらっても、安心感が得られないというのが、お互いえらい目にあった人同士なら、何も言わなくても分かるし、相手に気持ちも通じる」
【娘が脳に後遺症・城戸美智子さん】「これから(よろずに)興味ある人が調べられるということやね。深く調べようと思えば、資料があるわけやんね」 【牧秀一さん】「学者さんも調べられる」 【娘が脳に後遺症・城戸美智子さん】「先生良かったね…」 被災者支援では、30年かけて進んできたことと、今も残る課題があります。 よろず相談室のあゆみが、これからを生きる私たちに問いかけ続けます。
牧秀一さんたち「よろず相談室」が把握に努めてきた「震災障害者」の実態把握は、現在も自治体レベルで止まっていて、国の災害記録には掲載がありません。 その存在を周知し、実態を把握することが求められています。 (関西テレビ「newsランナー」2025年1月7日放送)
関西テレビ