がん治療の“未来"を展望―米臨床腫瘍学会の学術集会が日本で開催 異分野企業も参加を
◇毎朝のキーノートは必見
必見のセッションとしては、まず毎朝のキーノート(基調講演)が挙げられます。いずれも医学に大きな発展をもたらすであろう研究を手がけている、ノーベル賞に近いといわれる人たちの発表をじかに聞くことができる、めったにない機会です。 個別では▽分子標的薬やADC(抗体薬物複合体)製剤、がんワクチンなど治療に関するテーマ▽AI活用やDCT(分散化臨床試験)などストラクチャー(臨床試験の構成)――ほかさまざまな角度から議論が予定されています。 医療関係者、研究者だけではなく、企業の方にとっても開発の方向性が展望できる可能性もありますので、製薬、IT、AIなどの企業で開発にかかわっている方にもぜひ参加してほしいと思っています。 直前まで、ASCO BTのウェブサイト<https://conferences.asco.org/breakthrough/registration>から参加登録が可能です。
◇“ガラパゴス化”からの脱却目指し国際会議誘致
アジアでは、このような会はこれまで、シンガポールで開かれることが多かったのです。たとえばESMO(European Society for Medical Oncology:欧州臨床腫瘍学会)がアジアで開催する学会(ESMO Asia)がその代表です。そうなると、シンガポールががん医療に関する欧米からアジアへの窓口になり、情報が集まって、研究者が育つというサイクルが生まれます。逆に日本はそうした情報が入りにくくなって、世界を知らないために企業を含めて“ガラパゴス化”しています。一流の議論ができなくなっているのです。 ASCO BTやESMO Asiaのような国際的な会を日本に誘致することで、日本が窓口になって欧米からの情報が入ってくるようにし、研究者も企業も世界水準で勝負できる環境をつくりたい、そのための架け橋になりたいという強い思いがASCO BTの日本開催につながりました。
メディカルノート